全国旅行支援割、メリットデメリット

「遊べるうちに遊んだほうがいい」。大学最後の月日を送る今、周囲の大人たちから頻繁に掛けられる言葉です。社会人になれば自由な時間も今より持てないはず…就職活動が終了したいま、アルバイトでお金を貯めては旅行に行く日々が続いています。

全国旅行支援が10月11日に始まってから早一か月。筆者は先週、全国旅行支援割を活用して沖縄に行ってきました。割引適用のためには、ワクチン3回以上の接種または、検査陰性を示すものの提示が必要とされています。

沖縄旅行の写真(11月2日 筆者撮影)

筆者はタイミングが合わずワクチン3回目を打っていません。地元の埼玉県では、無症状者を対象とした無料検査(PCR検査・抗原定性検査)を、県内の薬局・ドラッグストアで実施しています。PCRの検査結果は、検査日の翌日から3日間しか有効でないため、旅行に行く直前に受ける必要があります。しかし、薬局やドラッグストアは、お店によって時間帯が決められているものが多く、なかなか空きがありません。友人に教えてもらい、浦和駅前にあるPCR検査センターに駆け込みました。

平日の午前中だったこともあり、センター内には筆者を含め6人ほどしかいませんでした。従業員の方と話している様子を見る限り、皆「全国旅行支援割」「イベント割」を目的としているようです。

検査プランと料金一覧(ホームページよりスクリーンショット)

検査は簡単です。口の中にためた唾液を、検査キットの表示ラインまで入れます。事前に渡された袋の中にキットを入れて提出口で手渡したら完了です。直接唾液を入れるのに抵抗がある人への配慮か、受付にはストローが置いてありました。13時までの受付で当日21時には結果がメールで送られてきます。結果は陰性。次の日から心おきなく旅行を楽しむことができました。

検査センターにあった唾液採取方法の説明書(10月31日 筆者撮影)

この割引制度では、宿泊者全員の書類が必要です。誰か一人でも条件を満たさないと、全員が対象外になります。一人あたり 旅行代金の40%相当の割引は相当大きいでしょう。PCR検査センターには助けられましたが、旅行する全員が検査の時間をひねり出すのは、社会人となれば余計に難しくなってくるはずです。このため、旅行支援割を使用するためにワクチンを打ったという声を良く耳にします。

「使いたいから打つというのも違う気がする」。そのような声もあるようですが、陰性の旅行者が増えることは安心材料にもなります。

打撃を受けた観光業界も徐々に需要を取り戻しつつあると各紙で目にしました。一方で、全国支援割に便乗し、宿泊料金を値上げする「便乗値上げ」も横行しています。度々出張を重ねる父親も、そうした動きを感じているようでした。

あくまで事業者支援で、旅行者支援ではない」。先月の朝日新聞にあった言葉ですが、実態はどうでしょうか。事業者が正しいやり方で、適切な支援を受けられる制度であることを祈るばかりです。

参考記事:

10月8日 朝日新聞デジタル 『「全国旅行支援」は誰のため? 「割引慣れ」「業界弱体化」の懸念も』