【特集】留学生の就活事情 立ちはだかる壁は何か

この1カ月、街や駅中でリクルートスーツ姿の学生を見ない日はありませんでした。朝日新聞が紙面で企画した大学4年生の座談会では、すでに内定をもらっているという人もいました。

売り手、売り手と言われて就活を始めた私たちですが、ふと思ったことが一つ。外国人留学生の就職状況はどうなっているのでしょう?自分が参加したインターンではまったく出会えませんでしたが、彼ら彼女らは、いったいどこにいるのでしょうか。ちなみに、大学のゼミの仲間に聞いてみると、メーカーや小売り、コンサル、外資ITなどの業界で見かけたとの証言がありました。

今回、国内の企業から内定が出ているという、知り合いの中国人留学生に話を聞くことができました。

彼女は日本の大学で学び、生活にも慣れて友人もたくさんできたことから、自然と就職もこちらでしようと思ったそうです。「いま中国に帰って何ができるのか、正直自分でもよくわからない。上海みたいな大都市だったら給料は高いが、物価も高い。日本で例えると、地方並みの給料で東京で暮らす感覚。地元に帰るのもありだけど、給料はさらに下がる」と語ります。

「知り合いは商社やメーカーを受ける人が多い。あとは貿易系。ただ、日本人と同じくらいの能力があってもなかなか内定はもらえない。語学力があっても、その会社が海外と関わりがなかったり、業務に必要なければわざわざ外国人を雇う必要はないから」。

日本学生支援機構の調査によると、平成28年度に大学(学部・院)を卒業・修了した留学生23,946人のうち、国内に就職したのは8,610人で、約36%でした。日本人と比べると決して高くはないこの数字、言葉・文化の壁や留学生向けの情報の乏しさ、就活にかかる時間や資金の不足が背景にあるようです。彼らを対象にした就活情報サイトもいくつか見つけましたが、これらがどれくらい役に立っているのかはわかりません。

また、日本で働くには留学ビザではなく、新たに就労ビザの取得が必要です。ただしこのとき、専門学校や大学などで学んだ専攻と就職企業の仕事内容に関連性がないと、許可はおりません。

ここまで日本への留学生の話を書きましたが、日本人が留学先で仕事を見つけるのもこれまた難しいようです。アメリカに留学中の友人は「こっちで働くのは無理じゃないかな。ビザの関係で厳しいし、スキルがないとなかなか採用してくれない。何より決定的に英語ができない」とぽつり。

4割弱の内定率を上げるためには、大学や関係各所のサポートのほかに、以前の投稿(就活生、合説に行かなくても)
でも意見があったように学生自身も早めに関心のある分野について考えてみること、就活のスケジュールを把握することが大切だと思います。志望を完全に決めてしまう必要はまったくありませんが、学生生活のゴールがある程度見えると、逆算していま何をやったらいいか見えやすくなることもあるはずです。これは日本の学生についてもまったく同じことが言えます。

これまで一緒に学んできた留学生も日本的就活を乗り越えられるように、支援・受け入れ体制の整備が進んでいってほしいです。

参考記事:
16日付 朝日新聞朝刊(東京12版)31面(教育)「就活『売り手市場』実感は」
17日付 読売新聞朝刊(東京12版)11面「主要100社アンケート 優秀な学生 争奪戦」