高齢運転事故を防ぐために

 数週間の間に、尊い命が奪われた悲しい記事をたくさん読みました。車が走る凶器となりうることを、あらためて思い知らされます。高齢者による運転事故が相次いで発生している背景には、高齢者ドライバーの急増があるようです。今朝の読売新聞の社説では、75歳以上の免許保有者が昨年末時点で478万人を超え、その数は10年間で倍増したと伝えています。

 今後ますます高齢者ドライバーは増えることでしょう。対策としてできることは何でしょうか。まずは当事者の意識を変えることです。自らの健康状態を把握して返納を検討したり、夜間や混雑時の運転を控えたりすることが望まれます。自分を過信してしまう方もいるかもしれません。家族が同乗して運転のアドバイスすることや、危険を感知した際には返納を促すことも効果的だと思います。

 政府は来年3月から、75歳以上の人が運転免許を更新する際の検査で認知症の恐れがあると判定された場合、指定医療機関などでの診断を義務づけます。それでも筆者は対策が万全でないと感じてしまいます。75歳以上のすべての高齢者を対象に、より短期間での免許更新を義務づけるなど、さらに厳しい管理が必要だと考えます。

 また、免許の自主返納を妨げる事情も見過ごせません。都市部では自分で運転しなくとも生活できますが、地方や山間部ではそれが難しいからです。筆者が生まれ育った和歌山県でも車社会が根付いていました。家から最寄りの駅は徒歩圏内ではありませんし、バスの本数も限られているため、必然的に移動手段は車になりました。

 安心して免許を手放せる環境作りが必要でしょう。朝日新聞の投書欄には、返納者を対象にしたタクシーの無料券配布を提案する声が紹介されていました。公共交通機関の利用では時間や場所が限られてしまいますが、タクシーであれば自由に病院や商業施設などと行き来することができ、非常に便利です。この他にも食料品の無料宅配サービスなど、様々な取り組みが広がればと思います。

 いたましい事故を決して繰り返してはなりません。さらなる対策が急がれます。同時に、これを高齢者だけの問題と捉えず、すべての世代が問題意識を持って、何ができるか考えていくべきです。

 

参考記事 17日付け 読売新聞朝刊 13版 3面  社説「高齢運転事故」

         朝日新聞朝刊  12版 16面 声「楽天的に『卒面』できる世の中に」