給食費無償化から考える 地域格差なくすには

小学生の時、給食の時間が楽しみで学校に通っていた人はいませんか。

筆者も楽しみにしていた1人。大学生になった今でも、夕食に地元で人気の給食メニュー「プリプリ中華炒め」を再現することがあります。

楽しい給食時間の一方で、所得の少ない家庭にとって給食費は家計の大きな負担となります。文部科学省の「令和3年度学校給食実施状況等調査」によれば、公立学校で保護者が負担する給食費の平均月額は小学校で4477円、中学生で5121円です。

所得が低い家庭は、費用が援助される「就学費用」の制度があります。

しかし、支援を受ける人が恥ずかしい思いをしたり、周囲の目が気になったりするスティグマ(差別や偏見)があるといいます。また、所得が基準を2、3万円上回っただけで、援助を受けられないケースもあるそうです。給食が無償化されれば、家庭への負担は年間で約5万円軽減されることになります。

東京都では無償化している区市町村に対し、その半額を補助する事業が進められ、23区では今年度から都と区の負担によって小中学生の給食が無償化されました。しかし、読売新聞によれば、同じ都内でも無償化されていない地域が残っています。多摩地区の30市町村のうち14市町村では給食が無償となりましたが、残りの自治体では財源不足から無償化が見送られました。全国的にも給食費を取る自治体が大多数です。筆者が住む市では、小学校の給食費は月額4700円。無償化はまだ実現していません。

つまり、住んでいる場所によって家庭の負担は大きく異なることになります。このままでは不公平です。子育て世帯には学校生活を送るため、給食費だけでなく制服や文房具、タブレットなど多くの出費が伴います。出生率の低下が叫ばれる今、子育て世帯の負担を少しでも軽くすることが少子化対策には不可欠だと考えます。

朝日新聞の記事では東京大大学院山口慎太郎教授の「児童手当の一部を現物給付の形で給食無償化の財源にすること」という意見を紹介しています。自治体だけでなく国も財源を負担することで、地域格差をなくすべきではないでしょうか。

 

【参考記事】

4月17日付 朝日新聞朝刊 (大阪13版)総合2面「給食無償化 住む場所次第」

4月3日付 読売新聞朝刊 (東京) 21面「14市町村 給食費無償 今年度、多摩地域自治体で格差」

【参考資料】

京都市学校給食協会「令和4年度事業報告並びに決算」http://www.kyoto-gk.or.jp/uploads/kessanR4.pdf

文部科学省「令和3年度学校給食実施状況等調査」https://www.mext.go.jp/content/20230125-mxt-kenshoku-100012603-1.pdf