キタサンブラック、お疲れ様

皆さん、クリスマスはいかがお過ごしでしょうか。サンタクロースからのプレゼントは何でしたか。

24日、おそらく日本で最高額のプレゼントを受け取ったのは、1頭の馬です。その額はなんと18億円。もしかしたらここでピンときた方がいるかもしれません。
そう、24日有馬記念。人々の大きな歓声の中、整備された中山競馬場のトラックの上で、16頭の競走馬が勝利を競い合いました。最高ランクの有馬記念、一位ともなれば獲得賞金は3億円にまで昇ります。

そんな途方もない競馬の世界で獲得賞金歴代1位に昇りつめたのは、キタサンブラック。24日のレースで勝利したキタサンブラックの総獲得賞金18.7億円となりました。馬がお金を使うわけではありませんが、キタサンブラックが集めた名誉、巻き起こした感動はまさにクリスマスの奇跡と言えるでしょう。

競馬というと、賭け事、おじさんがやるものというイメージが強いと思います。新聞を持ったおじさんたちが、煙草臭い競馬場で怒号を交し合う。

けれど実際、ここ数年の競馬事情は変わりつつあります。
最近では「馬女」と呼ばれる競馬好き女子も増えており、有名女性モデルが競馬予想をする番組を始め、有馬予想のCMにも若手の女優や俳優が起用されるなど、競馬場に新しい客層を引き入れる動きが見えています。

なぜ賭け事であった競馬が今、若者に受けているのか。それはある種、競馬が賭け事ではなく一種のスポーツとしての側面を持つことに、若い世代が気付き始めたということではないでしょうか。甲子園やフィギュアスケートと同じように、競走馬にも熱いドラマがあります。

競走馬は文字通り命がけ。新馬戦と言われる、いわゆるデビュー戦を皮切りにランク付けをされ、勝ち続けることができなければ最悪の場合、馬刺しになります。その反面、成績が良くなくても血統が良ければ種牡馬(牝の馬に種付けする馬)としてその後が決まります。競馬に詳しくない人でもディープインパクトの名前はよく知っているでしょう。ディープインパクトの場合、一回の種付けで3000万円もの大金が動くそう。

そんな厳しい世界の中で、キタサンブラックは残念ながらさほど血統の良い馬とは言えませんでした。デビューから3連勝を決めたものの、なかなか一番人気にはなれず。
けれどキタサンブラックは周囲の予想を裏切り、ディープインパクトの騎手である武豊さんとペアを組んでからはその勢いはうなぎのぼり、とうとう獲得賞金ランキング1位に輝いたのです。

また、キタサンブラックのオーナーは歌手の北島三郎さん。運命のいたずらか、北島さんが体調を崩して歌手活動を休養すると、まるでそれに代わるようにキタサンブラックが勝ち続けるという奇跡も起こりました。

今回でキタサンブラックは引退。今後は種牡馬として競馬会を裏で支えます。一方の北島さんは、キタサンブラックに代わって今度は自分が頑張る方だ、お疲れ様、と述べているそう。

競馬はほかの賭け事とは異なり、生き物の命が関わること。それを考えると簡単には盛り上がれないとは思います。
ただ、賭け事という偏見だけではなく、彼らの命をかけた一戦をぜひ一度、ご覧になってください。

参考記事:
25日付 朝日新聞朝刊(大阪13版) 14面(スポーツ) 「キタサン完勝祭り」