社歌ブーム再来?ルーツと現状に迫る!

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日本経済新聞社は2019年8月より、全国の企業から社歌を公募し、一般投票より日本一を決める「NIKKEI全国社歌コンテスト」を開催しました。12月13日に授賞式を行い、最優秀賞に富国生命保険の「フコクGOGO」が選ばれました。

受賞した企業の動画をいくつか見てみました。最優秀賞に選ばれた富国生命保険は某ビジュアル系バンドを意識した、とても勢いのある内容でした。数ある動画の中でも、最も印象的だったのは京都男前豆腐店の「男前音頭」です。音頭を基調としたリズムと「本物の男前はあなたを裏切ったりしない」という社訓をコンセプトに作られました。映像、ストーリー、楽曲のすべてがハイクオリティーでした。

そもそも社歌とは何でしょうか。ルーツは福利厚生で、1930年代まで盛んだった紡績業を支えていた若い女子工員らが楽しめるようにと、経営者側は「工場歌」を作ったそうです。それが社員で歌う社歌の習慣が生まれたきっかけになりました。

(2017年6月28日 日経デジタル版 「なぜ今、社歌ブームなのか?」/ブームの歴史)

大手企業の社歌を紹介した著書「社歌」がある作家・ジャーナリストの弓狩匡純氏によると、「第4次社歌ブーム」が来ていると指摘しています。「景気が極端に良いか、極端に悪い時期にブームになる」と分析し、会社のためではなく社員のためへと移行しているそうです。また、上司から半ば強制的に歌わされた経験のある中年社員に対して、若い社員には好評です。

最近ではYouTubeのような動画投稿サイトにアップし、企業文化を外に向けて発信する動きが活発になっています。有名アーティストに作詞作曲を依頼するなど、企業独自の取り組みでアピールしています。また、資金力のある大手企業だけでなく、中小企業も力をいれるなど、社歌を中心とした活動が徐々に拡大されています。

私はこのような魅力的な社歌を、もっと社外にアピールするべきだと考えます。JポップやCMソングとは違い、「会社の理念」「社訓」「社員の想い」が詰まっています。音楽という手軽な存在を通して若い人と企業の接点を作るといった意味でも、とても効果的ではないでしょうか。

就職活動中の方、企業に勤めている方は一度、社歌に目を向けてみると何か面白い発見が得られるかもしれません。

参考記事:

27日付 日本経済新聞朝刊28・29面(大阪)「社歌は、鼓動だ。」

2016年11月13日 日本経済新聞デジタル版「変わる「社歌」 再ブームの兆し」

2017年6月28日 日本経済新聞デジタル版「なぜ今、社歌ブームなのか?」