第二弾 秋でん対馬にくるっちゃち!

 

――タタターンターンターン タタタ ターンタターン…

わが地元対馬では毎朝7時になると、温かい日差しのような優しいメロディーが町中に広がります。近くの港には漁帰りの船と穏やかな海が。小学生だった筆者は、一日が始まってしまう憂鬱な気持ちとどこかわくわくした気持ちにとらわれていました。地元を離れてもなお、時折思い出します。

そんなメロディーに歌詞があると知ったのは数か月前。ダラダラと部屋で市の広報紙を眺めていた時です。「都会に夢求めて 旅立つ人がいる 若さにまかせ生きていこうと 縛られることをこばみ続けて どこかに行けば夢がかなうだろうと だけど旅人この街にも 素晴らしい人がいる出会いがある 遠く離れてもふるさとは 君を忘れはしない(一部抜粋)」。馴染みのメロディーにこんなにも素敵な歌詞が添えられていたとは。この歌、「夢・この街」を一層好きになりました。

さて、ふるさとの話から始まりました、本日のあらたにすです。8月上旬に夏やちゃけん対馬にくるっちゃ!を書いて早2か月。久しぶりに、自ら書いた記事のタイトルを見返して、後悔しました。「いやいや、春夏秋冬どの季節に来ても対馬は素晴らしいっちゃけど…」。昨日から始まった日本経済新聞の連載「ぼくたちの地方創生」に感化された筆者は、地元について語りたくて仕方がありません。「対馬に行ったよ」と読者の皆さんから声をかけてもらえる日まで地元愛を語り続けたいと思います。

この記事を書くため、去年の今頃何をしていたのか、写真を振り返ってみました。すると9月頃、対馬に帰省した形跡が。じっくり写真を見てみると城山でした。夏休みを利用して、祖母と2人で山登りをしたのでした。山に登る、といっても対馬には一言では語りつくせないほど見どころがたくさんあります。対馬シリーズ第2弾の今回は城山を中心に山について書きたいと思います。

見どころその1、自然。

対馬は知る人ぞ知る自然豊かな島です。対馬観光物産協会によると、日本列島の西に位置し、ロシア・中国などの野鳥繁殖地と、東南アジアなどの野鳥越冬地の中間に位置するため、春と秋の渡りの時期には数多くの野鳥を観察することができるそうです。また大陸と対馬には分布しても日本本土には分布しない植物も自生しています。筆者が城山に登った際は小さめなカニを見つけました。

 

対馬市 城山にて、2018年9月15日筆者撮影。

見どころその2、歴史。

高校生の歴史教科書を開くと、対馬はどの時代にもその姿を現します。古くは大陸文化を取り入れるうえで重要な役割を果たし、近代は日露戦争など。城山でもその足跡を垣間見ることが出来ます。数か所の掘立柱建物跡に加え、山頂近くには砲台跡と弾薬庫跡。また日本最古の歌集「万葉集」にある防人の歌は城山でも詠まれています。これほど歴史を学ぶのに適した場所はありません。

 

 

掘立柱建物跡、2018年9月15日筆者撮影。

 

最後の見どころ。

対馬の山々の中でも城山が誇るのは山頂からの景色です。目の前に広がるリアス式海岸を見た時の感動は忘れることが出来ないでしょう。

さて、ここまで地元の良さを筆者なりに語りました。この記事を読み、「都会は疲れた。一度山にでも登ってリフレッシュしよう。」と思った、そこの読者さん。ぜひ対馬に一度来てください。というのも、対馬の経済状況を見てみると現実は厳しいものなのです。「夏やちゃけん対馬にくるっちゃ!」の執筆後に目にした朝日新聞の記事にも、2017年で年間79億4千万円と試算された韓国人客の島内消費額も、今年7月に3億円、8月には7億円強落ち込むと推測される、とあります。

「ぼくたちの地方創生」によって地元を盛り上げようと頑張る人々のすがたを知ることが出来ます。では、筆者はこのあらたにすという空間を利用して何ができるか。答えは、こうして地元の良さを多くの人に知ってもらうことだと思います。きっと読者の皆さんがこの記事について頭から消え去った時期に第3弾が掲載されることでしょう。

 

最後に、秋から冬にかけてのこの時期は登山をするのに最適です。そして下山後、対馬が誇る美味しい食べ物を楽しみに街へ出かけてください。これからの時期はアンコウ、アラ、ブリ、スルメイカなど私たちの心をつかんで離さない季節魚が売り場に並びます。

 

さあ、最後はこの言葉で締めましょう。

対馬にくるっちゃ!

参考記事:

10月14日日本経済新聞 ぼくたちの地方創生「よみがえる熱海 地元をその気にさせた男」

9月10日朝日新聞「対馬にリゾート型東横イン 会長『韓国人客、必ず回復』」

 

参考資料:

広報つしま 対馬イメージソング

一般社団法人対馬観光物産協会 金田城と防人 / 対馬の自然