しっかりしてくれ文科省 未来の見えない大学入試

2021年の1月から、大学入試が変わります。従来の大学入試センター試験が、「大学入学共通テスト」と名前を変えて、実施に向けた動きが本格化しています。変更内容は大きく分けて2点あります。1つ目は、国語と数学に記述式の問題が導入されること。そして2つ目は英語です。

では、具体的に英語がどう変わるのか、整理した上で解説します。変更するのは下記の3点です。

①リーディングとリスニングの配点と問題形式

②「読む・聞く」能力から、「書く・話す」の計4技能を評価項目に

③英検(新型)などの計7種の民間試験を併用

①から見ていくと、これまではリーディングが200点、リスニングが50点の計250点でした。しかし、両方とも100点として計200点に。また、発音や語句整序などの単独で扱う問題を廃止、リスニングでは1回読みと2回読みが混在するようになります。

②では③の「民間試験の併用」が関わっています。①では従来のように「読む・聞く」が問われているので、その他の「書く・話す」を補うために活用されます。さらに、この試験は受験を希望する年度の4~12月に、2回まで受けることが可能です。その結果が各大学の受験資格ラインや、加点対象となります。

すでに受験生や親は混乱しています。それもそのはずで、人生を決定づけると言っても過言ではない大学受験が、説明不十分のまま進められているからです。さらに、文科省はこの流れを24年までと想定していますが、その後は未確定。ますます不満が募るばかりです。

ここまで複雑にする必要はありますか。英語の実力を上げるならば、同質の「国語」も軽視してはならないと考えます。なぜ日本語の「読む・聞く・書く・話す」を評価しないのでしょうか。当たり前に使用している言語を、まるで軽視しているかのような姿勢に、大きな落とし穴が隠されていると感じます。

日々姿を変えていく社会に適合する入試は必要です。しかし、運営側の説明不十分や明らかな準備不足は、日本の将来を担う若者の人生を変えてしまいます。これでいいのでしょうか。最後に言わせて下さい。

しっかりしてくれ文科省。

参考記事:

3日付 朝日新聞朝刊(大阪13版)「複雑な英語民間試験 くすぶる不安」

同日付 日本経済新聞朝刊(大阪12版)「議論置き去り 悪循環」

同日付 日本経済新聞朝刊(大阪13版)「英語新入試の不安を払拭せよ」