教員になるのは、一度企業に勤めてからの方が良い!?

学校の先生になりたい。大学に入ったら教員免許を取ろうと、教職課程を履修していました。大学2年のときは、通常なら1年間でとれる最大の単位、44単位を超え、別枠の教職も含めて56単位の授業をとっていました。こうなると講義漬けの日々です。

けれども途中で断念してしまいました。理由は二つあります。まず、新聞記者という仕事に興味を持ったことです。そして、教員にならないのに免許をとるのは無駄であると考えたからです。そもそも授業のコマ数が多く勉強が大変でした。また、一度免許を取得しても、10年に1度の更新が義務付けられており、その度に30時間以上の講習が必要です。

免許を取得したにもかかわらず教職につかないまま更新を怠ると失効してしまいます。社会に出てから、その時間を捻出するのは難しいでしょう。高校の恩師からは「教員になるつもりがないなら、免許を取得しても意味がない」と言われました。

昨日の読売新聞の1面に、文科省が来年度から、社会人が学びなおす「リカレント教育」の充実を図るための経費として約30億円を計上することにしたと報じられました。リカレント教育は、政府が3年間集中的に取り組む「就職氷河期世代支援プログラム」の柱の一つです。教員免許を持っている就職氷河期世代の社会人を教職に振り向けられるような講習制度を設けるそうです。

この記事を見て、なんていい制度なんだろうと思いました。企業人として一線で働いてから、あるいは記者としてキャリアを積んでから、教員になる。一度社会に出て経験を積んでから教壇に立つことは、教員にとっても生徒にとっても双方に利益があることだと思います。私は大学のゼミでは元新聞記者の教員の指導でジャーナリズムを学んでいますし、普段の授業でもNHKのディレクターとして長年働いていた先生から、報道について学んできました。臨場感があり、わくわくする話ばかりです。

いろいろな経験を積んだ人が先生になってくれたら学校の授業が楽しくなるのではないかと思いました。企業に勤めてから教員になる人が増えれば、教わる子どもの視野も広がることでしょう。

就職氷河期世代への対策といった限定的なシステムではなく、一度企業で働いた人が、教壇に立って生徒を教えることが当たり前になってほしいものです。

 

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