来る「地方議会全当選時代」を防ぐには

昨日は皆さんにとってどんな日でしたか。

4月から、新しい環境に挑戦される方にとっては、新しいことへの挑戦の日々となることでしょう。新入生ではなく、新入社員でもない筆者にとっては何気ない、いつも通りの春の日でした。そのような新しさと普通さが入り混じる中、ある大きなイベントが動き出してしていることを皆さんはご存知ですか。今日は昨日告示されたばかりの統一地方選について考えていきたいと思います。

3日、統一地方選として行われる41の道府県議選挙と17の政令指定市議選挙が告示されました。この選挙は、4年おきに実施され、市議会議員や県議会議員、市長や県知事など、地方政治に関わる選挙を一度に行います。筆者の暮らす東京都特別区(23区)はまだ告示はされていませんが、「選挙活動」ではなく、あくまで「政治活動」として、朝の駅前などで活動されている議員や新人候補者が増えていると感じている方は筆者だけではないでしょう。今回告示された地域の方はもちろん、これから告示される地域でも既に「戦い」が始まっている中、道府県議会では、全選挙区の33.4%にあたる321選挙区で無投票が確定しました。その結果、総定数の21.9%にあたる501名が無投票で当選しました。記録の残る1995年以降、最も高い数字となり、選挙の空洞化が進んでいます。今後は町村長選挙や町村議会選挙も予定されており、ますますその数が増えていくことも予想されます。

 住民の考える機会奪った(朝日)

当選者「政策 訴えられない」(読売)

2紙でこのように述べられているように、福祉やまちづくりなど、日常生活に密着した政策課題が多い中、国政と比べると地方政治が報道されることは少なく、我々が地方政治について考える機会も少ないでしょう。統一地方選挙で大々的に報道されたり、街頭で候補者が活動しているところ見ることで、候補者選びに限らず、自分の暮らす地域について考える機会を得るのではないでしょうか。選挙とは、市民の代表者を決めるだけでなく、政治意識を高める啓発としての側面も非常に重要ではないかという印象も持っています。

選挙において、だれが当選し、誰がどのような政治を行ったかはもちろん重要です。しかし、結果よりもその選挙を通じて、一般市民がどれだけ地域について考え、理解することについても意識を高めていく必要があるのではないかとも感じています。「大学全入時代」ならぬ「地方議会全当選時代」は、地方政治について考える機会が失われる時代ということになるでしょう。政治への関心を持たず、為政者に丸投げということは果たして良い結果を生むのでしょうか。また、それを防ぐため、尽力すべきは、政府や自治体だけなのでしょうか。我々、一市民にもできることはないのでしょうか。

参考記事:4日付各紙朝刊 各紙統一地方選関連面