建設から100年、被爆から70年

今からちょうど100年前の4月5日に原爆ドームの前身である「広島県物産陳列館」が完成しました。県の経済復興を図るために建てられ、県産品が展示・即売されて多くの市民で賑わっていたそうです。

さて、みなさんは広島の原爆ドームに足を運んだことがありますか。修学旅行先だったでしょうか。私の修学旅行の行き先は中学生のときは京都、高校生のときは九州でした。個人的に1度だけ原爆ドームへ行きました。

そもそも修学旅行で原爆ドームにいく意味は何なのでしょうか。戦争の悲惨さを風化させないためもあります。そしてもう一つ地域によって異なる戦争の歴史を学び直すことだと思います。

私は小学生時代を長野県で過ごしました。戦時中は都会の住民の疎開先になった地域です。たしかに空襲も少なかったそうです。お年寄りから疎開児たちの生活を教えてもらいました。

中学校以降は東京で暮らしているので、靖国神社に行ったり、資料館を訪ねたりして戦争について自ら学びました。一方、広島県出身の大学の友人は、小学生のころから原爆ドームを何度も訪れ、毎年平和教育を受けていたそうです。その友人は平和教育についてたいへん関心が高いのです。彼女が広島で受けた授業の話や戦争に対する考えをきくうちに、地域によって、戦争に対する教育格差にばらつきがあることが気になりました。各地の戦争体験が異なるのは当然です。しかし、平和教育に落差があってはいけないと思います。

教科書を読めば、ただ漠然と「戦争はしちゃいけない」ということは理解できます。でも、原爆ドームを訪れる外国人観光客が増えている反面、この30年で修学旅行生が半減しているのはどうしてでしょうか。小さい頃からの平和教育の一環として、ぜひとも原爆ドームへ足を運ぶべきです。

あの建物は人類史上初めて使用された核兵器の悲惨さを伝える歴史の証人です。学生のうちに出会って世界の恒久平和の大切さや核兵器の廃絶について考えてほしいものです。

みなさんはどんな平和教育をうけましたか。原爆ドームに行った方はどんな感想をもちましたか。みなさんのお話を聞けたら嬉しいです。

参考記事:5日付朝日新聞朝刊(東京12版)8面(第二社説)