私は週に3回は必ず風呂屋に行く「銭湯狂い」である。友達と遊んだ後やサークル後、バイト後には必ず行き、1日を「締める」のがルーティンとなっている。「NO SENTO,NO LIFE」になったのには、下宿先の裏にある銭湯が大きく影響している。
私が暮らす西陣は、銭湯が10軒近くある激戦区であり、個性的な風呂が多く存在する。その中でも、家から徒歩1分にある船岡温泉は魅惑の銭湯である。
1923年(大正12年)、料理旅館「船岡楼」の付属浴場として営業を始め、 登録有形文化財(建造物)に指定されるなど、建物自体が文化的かつ芸術的に優れたもので、訪れた者を圧倒する。
とくにお奨めなのが、脱衣場にある鞍馬天狗と牛若丸の彫刻や上海事変をモチーフにした欄間。また、浴場のエメラメルド色のマジョリカタイルなどは時代性にも富んでおり、銭湯界の「西の横綱」と呼ばれるだけある。また、風呂自体も大変に気持ちよく、極楽へと誘ってくれる。
そんな地上の楽園の魅力は決して内装だけではない。その客層の多様さもまた魅力的なのである。
私のような大学生から地元のご老人、外国人観光客まで様々な層が訪れ、多文化交流にはうってつけだ。とくに外国の客はいない時がないと言っていいほどで、「駅前留学」ならぬ「銭湯留学」ができる。
では、どこで知り、どう感じたのか。「銭湯留学」で出会ったサンフランシスコ出身のトムにインタビューを試みた。
▲船岡温泉を満喫し、ご満悦なトム。
池田:How do you feel about Funaoka?
トム:I feel much more relaxed!I was really tired when I was inside. And now I feel energized in a way, which I didn’t look for. Because I had seen the temple over there, it was very crowded, there were a lot of people, I was feeling very stressed out, so I decided to come in and take a bath, and I felt much better afterward.
池田:Thank you. Where did you hear about Funaoka?
トム: It’s like website. It’s called inside kyoto.com. That’s where I am. That’s where I listed down.
トムは「inside kyoto」というWebサイトで知ったらしい。ほかの外国人も口を揃えて「inside kyoto」を挙げていた。以前から、お世辞でも交通の便が良いとは言えない船岡温泉に何故、多くの外国人観光客が訪れるのか不思議に思っていたが、その謎が解けた。
近年、銭湯の経営難が叫ばれているが、こうしたウェブサイトを通じて、外国人観光客へのアプローチが成功すれば、復活は可能なのかも知れない。また、外国人を 「I feel much more relaxed!」とまで言わしめる銭湯文化は、れっきとした観光資源である。
すばらしい銭湯を支える為にも、私たちは週に3回以上は銭湯に通い、その経営に貢献すべきではないだろうか。
さぁ、みんな、タオルを持って近所の銭湯へ出かけよう! 至福の時が過ごせることを保証します。
参考記事
17日付 日本経済新聞(大阪本社版)夕刊4版 11面(もっと関西)「時の回廊 レトロ銭湯 非日常満載」