【特集】「○○なんて要らない」

日本時間24日未明、フランスのパリで開かれていた博覧会国際事務局(BIE)総会で2025年の国際博覧会(万博)の開催国が大阪に選出されました。当初は優位と見られていた日本ですが、徐々にロシアやアゼルバイジャンが猛追し、投票箱を開けるまで情勢は分からないと言われていたため、良い結果であったと言えるでしょう。

大阪に開催地が決定した瞬間、世耕経済産業大臣や大阪府の松井知事などが歓声を上げるなど現地の興奮がしっかり伝わりましたが、当の日本のネット上では冷ややかな声が目立ちます。

「ハコモノばかり作ってどうするんだ」

「万博なんて要らない」

「経済界が儲かるだけ」

せっかく開催国に決まったのに大丈夫かと不安になります。筆者が特に引っかかるのが「万博なんて要らない」という論調です。確かにそれをネットに書き込んだ人は自身の気持ちをそのまま素直に字に起こしただけでしょう。しかし、日本人のみならず世界から多くの人が訪れる万博を利用して新しいプロジェクトを実行したい人や自社の製品をもっと多くの人に知ってもらいたい人、万博というものを生まれて初めて見たいと思っている人がいることが置き去りになっていないですか。

東京五輪の招致活動の時も「オリンピックなんて要らない」論調はありました。でも、スポーツを極めて世界の人と実力を競う機会が自国で開催されるなんて選手にしてみればとても光栄なことではないですか。そんな夢を抱いている人の前で「オリンピックなんてハコモノだから要りません」なんて言えますか。

所詮ネット上の文字だけの意見ですから筆者がその意図を読み間違えているかもしれませんし、そこまで強調するものでもないかもしれません。でも、万博にせよオリンピックにせよ、盛大なイベントの開催がせっかく決まったのにそれを素直に喜べない雰囲気には少し悲しくなります。

参考記事:

24日付 日本経済新聞14版1面「大阪万博 決定」