そんな使い方があったのか! 個室の可能性

カラオケボックスは歌う場所。カーシェアリングは移動手段。そんな本来の用途とは異なる利用が広がっています。カラオケをゲームや映画鑑賞のために、カーシェアを仮眠や読書、通話のための個室として利用する人が増えているようです。

カラオケボックスには、防音設備が整っており、周囲の目を気にせずに楽しめる利点があります。高校時代、歌う以外の目的で利用していました。ドリンクバーが置かれている点ではファミリーレストランも引けを取らないのですが、大人数で騒ぎたい時や他人に聞かれたくない相談話などをする時には、より適していると感じたからです。勉強やゲームなどの長時間利用が気兼ねなくできるのも決め手の1つでした。

「パセラ」では、今年5月からボードゲームの無料貸し出しが始まっています。「コート・ダジュール」も、映画鑑賞サービスに力を入れています。国内のカラオケ人口の減少に伴い、カラオケ業界が本来と異なる用途に商機を見出しているようです。

一方、カーシェアリングの利用にも可能性が広がっています。NTTドコモの調査によると、移動以外の用途に使っている人は約13%に上っています。その内訳は、仮眠が64%、友人や家族との電話が40%、読書が34%です。

手軽さが背景にあると見られています。多くのカーシェアでは、スマートフォンやネットから予約でき、15〜20分単位と短い時間からの利用が可能です。「パーク24」では、15分間の利用料は206円で、価格の負担も低くなっています。静かな環境で通話に集中できることや、スマートフォンの充電ができることから、オフィスとして利用している人もいるようです。

外出中、用事の間の隙間時間に仮眠をとりたいと思うことがしばしばあります。カフェや公共のベンチで寝るのは気が引けて、これまでは最適な場所を見つけられずにいました。眠りを誘う車のシートを思い浮かべながら、カーシェアに興味を持ち始めています。

利点を最大限に活用できる方法を考えてみると、新たな可能性を発見できるかもしれません。ビジネスの芽は意外なところに転がっているのです。

 

26日付 読売新聞朝刊(東京13版)4面(政治・経済)「意外!?個室化ビジネス」