恩師と日本酒

恩師が今月14日に亡くなりました。

昨年、大学2年生のゼミを担当してくださった先生です。授業後はよく飲み会へ誘ってくださる、日本酒が好きな元新聞記者でした。訃報を知ったのは昨日の夜。よく連れて行ってくださった小料理屋の方から知り合いが聞いたとのことでした。

日本におけるジャーナリズムの課題について、幅広い知見をもとに教えてくださいました。西城秀樹さんのように、訃報が掲載されるような有名人ではありませんが、自分の人生に影響を与えた人物でした。

私自身、身近な人が亡くなるのは約10年ぶりで、1日経った今でも事実を受け止められないでいます。

今日の読売新聞社会面には、新酒の出来栄えを競う「全国新酒鑑評会」の結果が掲載されています。全国から850点が出品され、232点が金賞に選ばれました。このなかで、福島県の蔵元は19銘柄が金賞を獲得し、都道府県別の金賞数では6年連続の日本一に輝きました。恩師は福島県出身で、存命であればこの記事を読んでどう思うのだろう、と想像してしまいました。

こんな輝かしいニュースの一方で、日本酒業界は今、生き残りに必死です。国税庁の統計によると、平成8年度に1,213キロリットルだった清酒(日本酒)の販売量は、20年経った28年度に537キロリットルと、半分以下に減っています。私の住む東京でも今年2月、「23区で唯一続く造り酒屋」で知られる小山酒造が清酒製造事業から撤退し、事実上の廃業に追い込まれました。一方海外では日本酒が人気のようで、年々輸出量は増加しているものの、業界全体の生産を支えるほどではないようです。

日本酒はとりわけ「銘柄」ごとの愛飲者やファンの多い酒です。日本酒好きな学生として、これからも飲んで応援していきたいものです。恩師の好きだったのは、故郷の隣県新潟の銘酒「八海山」でした。じっくりと飲みながら、気持ちを整理したいと思います。

参考記事:
18日付 読売新聞朝刊(東京13S版)33面(社会)「福島新酒V6に酔う」
18日付 福島民報朝刊(8版)1面「県産酒 金賞日本一 史上初6連覇」
1月31日 SankeiBiz「東京23区内で唯一の酒蔵が廃業へ」

参考資料
国税庁課税部酒税課「酒のしおり(平成30年3月)」