進む技術、追う人間

皆さんの家にテレビはありますか?愚問ですか。そうですね、あると答える方が大半でしょう。私も実家を離れて一人暮らしをしていますが、持っています。1950年代後半に「三種の神器」と呼ばれていた家電製品の一つに白黒テレビ、また60年代半ば、いざなぎ景気のときには「新・三種の神器」またの名を「3C」という中に、カラーテレビが含まれていました。

 

さて、2011年に東芝が世界で初めて家庭用の4Kテレビを売り出してから今日に至るまで、年々4Kの普及率は伸びていきました。しかし、シャープは今年の秋に4Kよりもさらに解像度の高い「8K」を全世界に展開し、率先して市場を立ち上げていくことを16日に開催した同社の説明会で発表しました。

 

実は、昨年の12月から国内でも一部のメーカーが販売を開始しており、すでに中国や台湾、ヨーロッパの市場にも投入しています。NHKはこの8Kを普及するためのコンテンツとして、今年12月に世界初の8K放送を始めます。6月に開催するサッカーワールドカップや20年の東京オリンピックも高画質で届けるそうです。では、気になる価格はどうでしょうか。国内ですと、70インチで約100万円近くもします。

 

ここで、疑問が湧いてきます。本当に8Kは普及するのでしょうか。

 

画質も良くなり、映し出されるものが見えやすくなるとは思いますが、一番気になるのは値段です。私のような一人暮らしは当然のことながら、経済的な事情もあり、テレビに100万円近く出す消費者がどれだけ存在するのかも気になります。

 

近年、メディアで「若者のテレビ離れ」がよく取り上げられます。今ではスマートフォンから動画を手軽に見られます。有料、または無料動画サイトの登場もあって、まるで持ち運びの出来るテレビとして活用されているのが現状です。なので、家にテレビがなくてもことが足りてしまい、高いお金を出す必要がなくなる傾向にあります。

 

科学技術は進んでいますが、それを受け取る人は限られてしまう。そんなギャップが少なからずあるのではないでしょうか。この格差は年々広がっていくのではないか考えてしまいます。

 

参考記事:

17日付 日本経済新聞朝刊 13版15面「シャープ8K 一人旅」

「NHK 12月から衛星放送」

同日付 読売新聞朝刊 13版7面「8Kテレビ 商品を拡充」