国会空転 論戦を求める

「国会は、国権の最高機関であつて、唯一の立法機関である」

中学の公民でも習う憲法41条です。国としての意思を決定し、国民の考えを政治に反映させる国会の在り方が今、問われています。

森友・加計学園の公文書問題や自衛隊日報の隠蔽、セクハラ報道――。不祥事が相次いで明らかになり、あらたにすでも、「文書管理に危機感を 猛省して」などで論じてきました。国会では、野党6党が麻生太郎財務相の引責辞任や柳瀬唯夫元首相秘書官の証人喚問などを求めて審議を拒み、空転が続いています。そんな中、26日から安倍首相も出席する衆参予算委員会での集中委員会が始まりました。朝日新聞デジタルでは、分刻みでその内容や寸評を速報し、データを更新しています。

この国会空転をどう考えるべきなのでしょうか。各紙の意見は割れています。

朝日新聞は24日、「国会空転 正常化の責任は与党に」という見出しの社説を掲載しました。事態を招いた要因は、真相解明と政治責任の明確化を求める野党に「ゼロ回答」で応じた与党の不誠実さにあるといわざるをえないと主張しています。一方、日本経済新聞社は23日、「不祥事続出でも国会は審議するのは筋だ」と、真相解明や責任追及を求めながらも、空転を続ける野党の姿勢に疑問を投げかけています。読売新聞もまた、26日の社説「国会の混乱 審議復帰に条件を付けるのか」で、審議への復帰に前提条件を付ける野党を強く批判しました。

数々の不祥事に対する対応の手ぬるさや認識の甘さには納得できません。特に、加計学園問題では、発言の真偽に迫るために欠かせない柳瀬氏の証人喚問を早急に認めるべきだと考えます。しかし一方で、いかなる事情があっても国会審議の停滞は望ましくないと感じます。

国会は、党の利益ではなく、国民のためにあるからです。政策や法案を審議するためにあるのです。真相究明と重要法案を分けて考え、それぞれについて冷静に論議していく必要があります。与党は、国民が納得できる形での情報開示や関係者の責任追及を進める。野党は審議に加わり、重要法案において審議の充実に努める。与党、野党ともに、目の前にある課題から逃げることなく、真っ向勝負で論戦を進めてほしいものです。

 

参考記事 :

26日付 朝日新聞朝刊 14版 2面 「集中審議 踏み切る与党」

24日付           社説「国会空転 正常化の責任は与党に」

26日付 読売新聞朝刊 13版 3面 社説「国会の混乱 審議復帰に条件を付けるのか」

23日付 日本経済新聞朝刊 13版 2面 社説「不祥事続出でも国会は審議するのは筋だ」