文書管理に危機感を 猛省して

真理がわれらを自由にする
Η ΑΛΗΘΕΙΑ ΕΛΕΥΘΕΡΩΣΕΙ ΥΜΑΣ

国立国会図書館の貸し出しカウンターの上に、日本語とギリシア語で刻まれ、利用するたびに心に留めています。本を読み、知識を深めることは何が正しいのか判断する材料を与えてくれます。図書館は学問の自由や知る権利を保障している。そうしたことを考えれば考えるほど、この言葉は感慨深いものとなります。

戊辰戦争の最後の戦いとなる箱館戦争や旧幕府海軍副総裁だった榎本武揚について調べていたことがありました。そのときに利用したのは、国会図書館内の憲政資料室や国立公文書館です。政策の決定過程や外交上のやり取りが書かれている資料を閲覧したかったからです。憲政資料室はおもに近現代日本政治史に関する文書類を所管しています。個人の日記や書簡など幅広い私文書、公文書を閲覧することができます。国立公文書館は、歴史資料として厳選された公文書を一般に公開しています。国の機関が作成した文書類は歴史を知る上でとても重要な資料なのです。

財務省は12日、学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書を書き換えたことを認めました。また、野党は加計学園の獣医学部新設をめぐる今治市の文書も書き換えられたのではないかとも指摘しています。あまりに公文書がずさんに取り扱われていたことに驚いています。書き換える行為は事実を歪めることと同じです。

国会図書館は開館70周年を迎えました。それを記念した標語は「過去を読み、未来を読む」です。こちらも、いつも思い出したい言葉です。政治学や行政学の上で大切な考察と通じているからです。政策決定の背景に何があったのか。公共の課題を解決するうえで矛盾していないか。過去を見直すことで反省点や成功例などがわかります。そして次の政策につなげることができます。財務省は公文書の価値を下げてしまうことだと猛省し、強い危機感を持たなくてはなりません。これを機に文書管理が大切であるとの認識が深まることを祈ります。

参考記事:
16日付 朝日新聞(東京14版)1面「改ざん政府説明ほころび」 関連記事2、9、39面
同日付 日本経済新聞(東京14版)2面「首相、森友「書き換え」6日に把握」関連記事4面
同日付 読売新聞(東京14版)1面「森友文書 理財局以外も調査」関連記事2、3、4、39面