ネット選挙はあり?

幼い頃、選挙の投開票日をちょっとしたイベントのように捉えていました。家族全員で投票所となる小学校に向かい、その後はどこかに出かけたり、外食したり。家に帰ってからは、リビングで選挙特番を見ました。そんな選挙の方法が、今後変わってくるかもしれません。

今日の日本経済新聞「ポスト平成の未来学」で、興味深い記事を見つけました。ネット投票にまつわるものです。

2005年に、世界で初めて全国規模のネット投票を実施した国があります。バルト諸国のひとつでIT大国のエストニアです。急激な少子化に加え、首都の一極集中や国外で働く人の増加もあいまって、導入が決まったそうです。記者が東京都渋谷区にある大使館を訪れ、疑似体験レポートを書いています。

使うのは、コンパクトなタブレット端末。簡易なICカードリーダーが差しこまれ、身分証明書を内蔵する投票者のIDカードをセット。個人認証を終えると、政党と候補者が一覧を表示した画面にて投票先を選んで、再び認証すれば完了。「実にあっけなく終わってしまった」と感想を述べています。

なりすましや一緒にいる人からの強要を防ぐための策もあるようです。投票内容は何度も変更可能で、期日前の期間中に投票し直せば上書きされます。最終的に投票日に紙で投票すればネット投票の内容は反映されません。

筆者はネット投票があったらいいなと思うことがあります。住民票を移していないため、選挙のたびに地元の自治体に請求書を郵送し、投票用紙を送ってもらう手続きが必要になるからです。「行きたいけど、不在者手続きがめんどくさい」「投票日は用事があるから、行かないかな」。大学ではそんな声を聞くことも多いです。政治に少しは興味があるけれど、投票は行かないという層がある程度、実在すると思います。ネット投票という選択肢が増えれば、若者の投票率はぐっとアップするのではないでしょうか。

とはいえ、言うは易く行うは難し。セキュリティー対策は必須で、投票しやすい仕組みを整えるには莫大な費用がかかります。今なら待機児童や社会保障の財源に充てた方が現実的と言えるかもしれません。それでも、河野外相は海外在住者や国外を航行する船舶の船員を対象に、先行実施を検討し始めました。まずは、障がい者や要介護者、遠隔地に住む人、在外有権者など、事情があって投票が難しい人に限定するにしても、広がっていけばいいなと思います。

参考記事:15日付 日本経済新聞 13(東京)版 朝刊 「ポスト平成の未来学 ポチっとネット投票 若者に政治取り戻せ」