一人の高校球児に魅せられて

春の選抜甲子園が盛り上がっています。野球好きの筆者は、プロ野球も開幕し、毎日テレビに釘付けです。その中でも、一人の球児に注目しました。大阪桐蔭に敗れた佐賀県代表・伊万里のキャッチャーで4番・梶山勇人選手です。

試合中のサングラス姿がインターネット上で話題を呼んでいます。梶山選手は「翼状片」という目の病気を患っており、病気の原因と言われている紫外線対策として日中はサングラスをかけているそうです。

このニュースを見たとき、驚きを隠せませんでした。なぜなら、筆者も高校2年生のとき、同じ病気を罹患し、今もなお治療中だからです。

日本眼科学会によると、翼状片は

白目の表面を覆っている半透明の膜である結膜が、目頭(めがしら)の方から黒目に三角形状に入り込んでくる病気

です。「目が常に充血している」「白目の一部が黒目にかかってきた」といった自覚症状があります。

梶山選手はサングラスをかけて甲子園に出場した理由について「サングラス姿を見て病気のことを知って欲しいし、同じ病気の人に勇気を与えられれば」と述べ、自らの病気については「うまく付き合っていくしかない」と話しています。

筆者は「ずっと目が真っ赤」という症状が、本当にコンプレックスでした。他人に心配をかけてしまうし、鏡をみると病気のことを思い出してしまうのが嫌だったからです。そして、病気の根本治療のためには手術が必要です。筆者は過去に1度行ったのにもかかわらず、再発してしまいました。そのことが本当に悔しくて、「いっそのこと失明してしまえばいいのに」と思ったことが何度もあります。それだけに、梶山選手の言葉に勇気を貰いました。自分もあらたにすを通して多くの人に病気のことを知ってもらいたいと思います。

病気の原因ははっきりとわかっていません。筆者もそのことが自分を責めることすらできず苦しみましたが、最新の研究では紫外線が関係していると言われています。そして、気象庁によると、日本に降り注ぐ太陽紫外線量は年々増加しています。また、環境省が発表している「紫外線環境保健マニュアル」の日中外出を控えることが推奨されるUV指数11段階の8以上の危険レベルの太陽紫外線曝露が観測された日数も増加傾向にあります。

高校球児などの屋外スポーツをする人がなる病気ではなく、日常にリスクが潜んでいます。これ以上同じ病気で苦しむ人が増えてほしくありません。他人事と思わず、毎日の紫外線対策を心がけてください。

 

参考記事:

1日付 各紙朝刊 選抜高校野球関連記事

3月27日付 朝日新聞デジタル「佐賀)諦めぬ伊万里、終盤2点 大阪桐蔭に敗れる」