勝手に新旧対決

今、アナログレコードが人気を博しているといいます。従来のファンはその音質の良さに魅了されて収集しているそうですが、レコードプレーヤーを持っていない層もジャケットの魅力に引き寄せられているようです。全盛期以降、他の音源の出現により人気は低迷していました。20万枚に満たない生産数まで激減していましたが、2013年から人気は急上昇し、17年は前年比の3割増しとなる106万枚まで伸びています。

私のような「キレイにデジタル化された音」に慣れているものでも、レコードを聴くと、二進法の世界には存在しえない深みを感じます。それとは別に興味深いのは、プレーヤー自体を持っていない人々にアピールしていることです。そこにはどんな背景があるのでしょうか。

実際に家にあったレコードを引っ張り出してみました。CDと比べると4倍の大きさがあるそれは、しっかりとした厚紙のケースに収納されており、何枚か重ねると不思議な重みがあります。つまり、物としての重厚さがあり、音としても優れている。収集品として最適であることは間違いないです。そこに思い入れが加わればそれこそ一級品になるでしょう。

「あらたにす」では、何度か紙媒体としての本について考えてきました。電子書籍は、以前と比べ、より読みやすく手軽なものに変化しています。そんな時代だからこそ、紙媒体は紙質などの手触りや表紙などの装丁、ページをめくる感触などデジタルメディアにはない良さを味わえる存在という色彩が強くなっています。つまり、利便性や合理性を追求した結果の「物」ではなく、それぞれの消費者が価値を見出す「もの」であることが、これからの非デジタル文化には求められています。

それはそれで面白い世界かもしれません。

他の人が分からない価値を「もの」に見出す、そんな優越感がちょっと豊かな気持ちを作り出すかもしれません。

参考記事:
10日付 読売新聞朝刊(12版)17面(くらし)「レコードの音に酔う」