コンビニの可能性と課題

 コンビニエンスストアのない生活など想像できるでしょうか。それほどにわたしたちの暮らしには欠かせない存在ですが、ここにきて客数の伸び悩みに直面しています。ドラッグストアに日用品や惣菜など得意とする市場を侵食されたこと、ネットショッピングの急拡大などが理由です。 

 そんな中、ファミリーマートが店内にコインランドリーを併設する計画を発表しました。待ち時間にイートインスペースを利用できるようにすることで集客力もアップする一石二鳥を狙います。1号店は2018年春に関東地方でオープンする予定です。

 来店のきっかけ作りを目的に、セブン−イレブン・ジャパンもソフトバンクなどとシェア自転車の拠点拡大を発表しています。安さが売りのドラッグ店に対抗するように、セブンなど大手3社が相次いで日用品の値下げにも踏み切っています。

 いつでもどこでも必要なものはなんでも揃うその利便性に、これまで何度助けられたかわかりません。海外で生活したとき、夜中にふと思い立って買い物ができるのは決して当たり前のことではないのだと思い知り、ありがたみを痛感しました。これまでもATMやカウンターコーヒーの設置など、様々な取り組みが見られましたが、これからも今では想像もできないような新たな機能が登場する予感がします。

 一方で、人手不足や人件費上昇が各店舗の経営を苦しめています。アルバイトの厳しい労働環境やフランチャイズ契約によるオーナーの過酷な実態も問題になりました。コンビニを象徴する24時間営業さえ問い直され、ファミマはその必要性の可否を検証する実験を数店舗で始めています。便利さを享受している人がいる裏でその重圧に押しつぶされている社会の闇のようなものが見え隠れしています。私たちは少し便利なことに慣れ過ぎているかもしれません。

 コンビニはこれからどのような進化を遂げるのでしょうか。AI時代の到来で、人がいなくても営業できるようになるかもしれませんね。

 

参考:

25日付 日本経済新聞朝刊(東京13版)13面「コンビニ試練 客伸びず」

同日付 朝日新聞朝刊(東京14版)9面「ファミマがコインランドリー」