姉妹都市解消 アイゼンハワー大統領の理念はどこに

サンフランシスコ市のリー市長が慰安婦像の寄贈受け入れを決めたことを受け、大阪市の吉村市長は姉妹都市提携の解消に踏み切りました。

関係改善を目指して歩み寄ることは出来なかったのでしょうか。

姉妹都市とは、戦後アイゼンハワー大統領が「ピープル トゥ ピープル」の理念を掲げて提唱し、世界中に広がった取り組みです。戦争の反省から、国家の間で摩擦が深刻になっても市民レベルでの相互理解を深めることで衝突は回避できる。そうした理念や確信に支えられています。そのため、姉妹都市間では定期的な代表団の派遣や記念行事の開催など様々なイベントを通して交流が行なわれてきました。

今回の関係解消は姉妹都市制度が作られた経緯を無視した行為だと思います。

確かに、不確かで一方的な主張を事実かのように書いた碑文の内容を認めることは出来ません。しかし、60年続いた交流をたった4年の対立で解消してしまうのは浅薄と言わざるを得ません。

日常の個人同士の付き合いの中でも、喧嘩やすれ違いが全くないということはありません。言い争いが起こってもそのたびに話し合いをし、歩み寄って関係を続けていくのです。

「雨降って地固まる」

いざこざなど悪いことが起こった後はかえって基盤がしっかりして良い状態になることをたとえたことわざです。

根気強い対話を通して、たとえ長い時間を費やしても関係を改善し、より強いつながりを築いていく。

これが戦争の反省を生かした、姉妹都市の本来のあるべき姿であると思います。

 【参考記事】

24日付 読売新聞朝刊(大阪14版)31面(社会)「大阪市長 信頼が消滅」

 同日付  朝日新聞朝刊(大阪13版)26面(社会)「慰安婦像 途切れる60年の絆」