ゴルフクラブを置くということ

 「試合に負けたら、今までの努力を否定されたような気がする」

 これはサッカー部のキャプテンが言っていた言葉です。私の所属している体育会サッカー部の選手はほとんどが小学校から続けている人たちばかりです。もちろん、自分が選手としてスポーツをしていた時にもこの気持ちは度々感じましたが、人生の半分以上にわたってサッカーを続けてきた彼の口からでたからこそ、自分がかつて感じた思い以上の重みを感じました。

 これがプロ選手ならば一体、どのような気持ちなのでしょうか。自分の人生を捧げて頑張ってきたことに区切りをつけるときというのは。

 

 女子プロゴルファーの宮里藍選手が引退会見を開きました。彼女は会見で「数年前からモチベーションの低下を感じていた。『こんなに調子がいいのに勝てず、次はどうしたらいいのだろう』と立ち止まってしまった」と言いました。自分も体育会サッカー部の活動で度々体験することです。しかし、私たちはあくまでアマチュア。生活の「すべて」を賭けていてもこの壁にぶち当たるのなら、どうしたらいいのかわからなくなってしまうことでしょう。プロというのは本当にギリギリのところまで自分を追い込まないといけない、厳しい世界なのです。

 もちろん、彼女の苦悩を私は計り知ることはできません。しかし、一つ確かに言えるのは、彼女の活躍を見て笑顔になった人が数多くいたということです。これは、彼女の引退が多くの新聞で大きく取り上げられていることからもよくわかります。ギリギリの戦いであるからこそ、多くの人の胸を躍らせるのです。

 「年内はエネルギーをすべて試合に注ぎたい」。引退会見で彼女はこのように述べました。最後の頑張りに期待しています。

 

参考記事

30日付 朝日新聞朝刊(京都14版)1面「寂しさより感謝で胸いっぱい」

14面(スポーツ)「調子いいのに勝てず、自分見失った」

39面(社会)「「藍ちゃん」海越え愛された」