今こそ、思い知る給食のおいしさ

今日、私は昼食を食べていません。大学生になってからそんな日が多くなりました。朝食と昼食が一緒になったり、抜いてしまったりしてしまいます。食べたとしてもコンビニのおにぎりや菓子パンなど、とても健康的な食事とは言えません。そう考えると学校給食ってよかったなと思います。

そんな中、三重県鈴鹿市教育委員会は市立の小学校30校と幼稚園13園で給食を2日間中止することを決めました。理由は台風や天候不順による野菜価格の高騰です。市教委では市内、県内、国内産の野菜を優先的に使用していており、給食費の範囲内でやりくりすることが出来なくなってしまったようです。また、国の栄養基準を満たすために、品数も減らすこともできない事情があります。中止になるのは、2学期最後の12月20日と3学期最初の1月12日。その2日間は子供が弁当を持参するか、午前中で帰宅するということです。

この記事を読んでの疑問が2点あります。1つ目はこの状況で外国産の野菜を利用しないことです。もちろん地産地消を推奨することはいいことです。それについての異論はありません。ただ、高騰した野菜の代用ということであれば外国産を用いることも仕方のないことではないでしょうか。

2つ目は、国の栄養基準とはなんなのかということです。これは文部科学省が定める「学校給食実施基準」のことです。そこにはエネルギーやたんぱく質、脂質、ナトリウム、カルシウム、鉄、ビタミンA、ビタミンB1、ビ タミンB2、ビタミンC、食物繊維の量が事細かに決められています。学校給食はその基準に合わせる努力をしなければならないとあります。

そうなると確かに、品数を減らせないのも理解できます。ただ、中止にして弁当や自宅での昼食にした場合、基準に見合った栄養を取れるという保証はありません。ましてや昼食を食べないで午後を過ごす生徒も出てくるかもしれません。

それでは元も子もありません。なら一層、給食費の範囲におさまり、栄養基準に満たない、それほどおいしいわけではない給食を提供してみてはどうでしょうか。弁当や昼食をつくる父母の負担は軽減されます。なにより、日ごろの給食のありがたみを感じるでしょう。先日投稿された「その食品、捨てないで」にもあったように日本の食品ロスは深刻な問題です。給食も例外ではありあません。環境省によると小中学生の1人当たりの年間の食べ残しは7.1kgにもなるそうです。

この給食を提供できない問題は、他の自治体でも考えておかなければいけないでしょう。原因が天候不順とあれば、全国で同じようなことが起きてもおかしくありません。実際、埼玉県川越市では給食に必要なホウレン草を小松菜に、東京都府中市ではニンジンやブロッコリーをキャベツやキノコに替えて提供しているようです。

今のところは価格の安い野菜で代用したり、給食の提供を2日間だけ中止したりといった、比較的小さな影響で済んでいます。しかし、近い将来、給食がなくなったり、給食費が大幅に高くなったりすることも考えられます。みんなで食べる給食は最高においしいものです。そんなかけがえのない時間をこれからの子供たちにも味わってもらえる環境を維持していきたいものです。

 

参考記事

3日付 朝日新聞 13版 37面 「野菜高騰で給食2日間中止へ」

同日付 読売新聞 13版 32面 「野菜高騰 給食中止」

2日付 日本経済新聞社 電子版 「高い野菜に給食困った 自治体、予算に上限」