タクシーに「ちょい乗り」しますか?

普段使いでタクシーに乗りますか?学生の私は、お金にそこまで余裕がないので専ら電車を使っています。しかしながら、どうしても急がなければいけない時、電車に乗ると遠回りになってしまうときなど、タクシーの誘惑には何度も晒されてきました。タクシーの強みは利便性や快適性にあって、逆にその価格が弱みになっていました。ところがここにきて、その根本的な弱みが解消されるかもしれません。                    

現在、都内のタクシー初乗り運賃は2キロメートルで730円です。これを1キロメートル410円とする実証実験が新橋駅などで始まりました。1キロメートル単価は上がっていますが、少しの距離を乗って移動する「ちょい乗り」ニーズを狙い、高齢者や訪日外国人など新たな利用層の開拓を目指します。都内の短距離化は国交省が審査中で、早ければ年内にも実現する見通しです。

初乗り短距離化は「収入減につながるのではないか」という懸念もありますが、それでもタクシー業界が「消費者目線」戦略を急ぐのには理由があります。国交省によると2014年度までの20年間でハイヤー・タクシーの輸送人員は40%も落ち込みました。顧客を獲得するには、米ウーバーテクノロジーズが展開するライドシェアのように、ニーズの多様化に対応せねばなりません。そのための決断なのでしょう。

最近、カフェでお酒が飲めるようになる「ちょい飲み」など、「ちょい○○」が身の回りに増えてきました。それだけ、さまざまな業界が私たちのニーズに近寄って来てくれているという証拠でしょう。これから、きめ細やかな日本流の「ちょい」おもてなしが広がれば、4年後にリオから引き継ぐ東京が、さらに世界からの評判があがるかもしれません。

参考記事:6日付日本経済新聞朝刊(東京13)13面「タクシー410円実験」