メダルより、一粒の汗に目を向けたい

昨年の12月末、初めて高校ラグビーを観戦しました。天理高校と山形南高校の試合が、とても印象に残っています。試合終了10分前の時点で90-0、天理高校の勝利は見えていました。「せめて、1回だけでもトライを」と、会場にいた人がみな願っているようでした。その思いが届いたのか、試合終了1分前に山形南の選手がトライに成功。山形南は7点を獲得し、会場は拍手に包まれました。「敵、味方関係なく、頑張る姿に人々は感動する。そして、その場が一つになる」。スポーツの持つ力を実感しました。

きょう、甲子園が開幕しました。今年の地方大会の参加校数は3874校で、各地での熱戦を勝ち抜いてきた49の代表が甲子園球場に集います。今回の開会式では、熊本地震で被災した東稜高校の主将が先導役を務めました。被災した熊本の人々にも、勇気や元気を与えられることを願います。春夏連覇を狙う奈良の智弁学園の主将、岡沢君は「部員全員が一つになって、春夏連覇を実現させたい」と意気込みます。歴史的な「春夏連覇」となるか、行方が楽しみです。

そして昨日、地球の裏側では「リオ五輪」が開幕しました。開会式の様子をテレビで見ていましたが、” Let’s look for similarities and celebrate differences”という言葉に感銘を受けました。複数の民族からなるブラジルらしいメッセージで、「異文化」の中にも「共通点」を見つける。そんな姿勢に惹かれました。スポーツでは肌の色も、話す言葉も、貧富の差も関係ない。そう思える開会式でした。とりわけ、今回は難民選手団の活躍にも視線が注がれます。

昨年から野球界では賭博問題、オリンピックではドーピング問題など、スポーツの「闇」の部分が大きく取り上げられていました。しかし、その闇を吹き飛ばすほどの熱戦が繰り広げられることを期待します。甲子園で流れる汗、リオで流れる汗、どちらにも注目したいです。今年の夏は、いつもより「熱く」なりそうです。

参考記事:

7日付 各紙 高校野球関連面、リオ五輪関連面