イギリス国民投票と参院選

昨日のニュース速報、テレビ、そして今日の朝刊を読んで、驚いた人も多かったのではないでしょうか。イギリスEU離脱派のリーダーであったボリス・ジョンソン前ロンドン市長が、保守党の党首選挙への立候補を見送ったのです。現在、与党である保守党の党首選挙に立候補しないということは、次期首相への立候補を見送ったことと同じです。次期首相の最有力候補とされてきたジョンソン氏の不出馬で、イギリスの内政はますます混沌としてきました。今日は、このイギリス内における混乱を踏まえて、どうしてこうなってしまったのか、参院選を控える私たちは何を学ぶべきかを、考えたいと思います。

まず、注目したいことはジョンソン氏が出馬を見送った理由です。「友人や同僚らに相談し、議会の状況を見る中で、(保守党を率いるのは)私ではないという結論に達した」と説明しました。この発言には、党の重鎮マイケル・ゴブ司法相の離反が背景にあると考えられます。国民投票までの運動中、ジョンソン氏は「主権を取り戻す」とキャッチフレーズを掲げ、離脱派としての信念を持って活動しているかのように見えました。しかしながら、最終的には自らの今後を案じて、立候補をしないという決断をしたのです。離脱に投票した国民から、ため息が聞こえてきてもおかしくありません。

また、投票後の国民にも注目したいと思います。国民投票の結果が判明した後、イギリスのネット上で「EU離脱の意味は?」「EUって何?」などが非常に多く検索されたと話題になりました。これを検索した人々が、どちらに投票したか、もしくは投票しなかった人々なのかは分かりませんが、国民的議論が巻き起こったように見えて理解が深まっていなかったことは分かります。先ほど挙げた「主権」というテーマや「移民」という感情的に議論されやすいものが議論の中心になったことも、原因として挙げられるかもしれません。

ここまで、国民投票とその後の混乱の原因を簡単に見てきました。今日考えたいことは、EU離脱の是非ではなく、イギリス政治混乱から学ぶことです。私は、選挙が終わってから後悔するなんて情けないと思います。参院選投票日まであと9日になりました。私たち有権者に求められることは、感情に流されない冷静な目線と、個々人のぶれない判断軸です。この国の将来にとって、何が最大の関心事で、あなたは何が最善の選択肢と考えるのか。自信を持って投票すれば、後悔も混乱もありません。今回の選挙は、いつも以上に、「考えた」1票を投じてみませんか。

参考記事:イギリスEU離脱関連面