思いやりを大切に。物流問題に受け取り手が5分でできること

好んで使っている通販サイトから「即日配達」が無くなったことに気付いたのは、半年ほど前。ちょうど「2024年問題」という言葉が耳に馴染んできた頃でした。

2024年4月からドライバーの時間外労働に年960時間の上限が設けられることにより発生する数々の問題を総称して「2024年問題」と呼んでいます。今でも深刻な人手不足に上限規制が加わることで、流通業界の抱える問題がより顕著になっています。

「Google、AI×デジタルツインで物流の課題解決」や「トラック中継拠点を全国に 官民整備へ」など、紙面では企業や政府ではドライバーの待遇改善や物流配達の効率化といった取り組みが始まっていることが報じられています。しかし、配送業者やドライバーだけの問題なのでしょうか。今回は私たち受け取り手が5分でできる2024年問題の対策を紹介します。

対策①:置き便設定。置き便ボックス、バックの利用

一つ目が「置き便設定」です。置き便とは、あらかじめ設定した場所に商品を残してもらい、サインレス、非対面の形で荷物を受け取る方法です。置き便指定のできる宅配物なら、設定1つでドライバーの再配達の負担を減らすことができます。また受け取る側も、手が離せない時や外に出られない時でも荷物が届くことから、負担が減るのではないでしょうか。

一方で「盗難が不安」と感じる人もいるでしょう。防犯対策としては、鍵のついた置き便ボックスや置き便バックがあります。これらを使うと被害に遭う危険度を下げることができそう。ただし、高価なものは店頭や自宅で直接受け取るほうが安全でしょう。

対策②:店頭、宅配ロッカーでの受け取り

二つ目が「店頭、宅配ロッカーでの受け取り」です。通販サイトによっては、コンビニや「Amazon Hubロッカー」といった宅配ロッカーで受け取ることができます。

自宅ではないため、重い荷物を運ばなければならなかったり、わざわざ取りに出かけたりしなければなりません。そんな手間はかかりますが、盗難リスクの軽減や会社などの帰宅ついでに持ち帰ることができる利点があります。

「一人暮らしで仕事が忙しく、受け取る暇がない」「防犯上、家で受け取ることに不安を感じる」という悩みを抱えている人には特におすすめの方法です。

対策③:配送予定日時に直接受け取る

三つ目が配送予定日、指定時間帯にはしっかりと家にいるという方法です。直接受け取るだけで、ドライバーの方々の再送負担の軽減をすることができます。

5分の取り組みの重要性

「11.2%」。国土交通省による宅配便の再配達率です。ハウンドジャパン社によれば、一般的なドライバーが1日に配達できる軽貨物は、70から100個。そのうち最大で11個は翌日の再配達に回される計算になります。

私たち受け取り手の多くは、ワンクリックで再配達を依頼できます。「その時にいなくても、あとで配達してもらえればいいか」。そんな風に安易に考えている人もいるかもしれません。

しかし、物流問題ではこんなことも言われています。

「宅配物の3割以上が届かなくなる」

事の大きさに気付くのは、宅配物が指定時刻に届くという当たり前が消えてしまってから。そうならないためにも、5分でできる配慮を日々積み重ねることが肝要です。

参考記事:

27日付 日本経済新聞朝刊 13版 2面「佐川、宅配便を来春7%値上げ 2年連続 運転手確保へ新職種」

参考資料:

国土交通省「宅配便の再配達率は約 11.2% ~令和 3 年 4 月の調査結果を公表~https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001410211.pdf

令和3年6月25日

 

ハウンドジャパン株式会社「軽貨物の配送数、1日に何個が目安?」

https://onl.sc/SLbzNMK

 

日本経済新聞電子版「Google、AI×デジタルツインで物流の課題解決」https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC192BD0Z10C23A3000000/

2023年3月24日

 

日本経済新聞電子版「トラック中継拠点を全国に 官民整備へ 複数人で輸送、負担減で人手確保」https://www.nikkei.com/article/DGKKZO74233040W3A900C2MM8000/

2023年9月7日