「球場」から「まち」へ、進化するボールパーク 自治体は明暗分かれる

「北海道ボールパークFビレッジ」(Fビレッジ)と、その中核施設である北海道日本ハムファイターズの新本拠地「エスコンフィールド北海道」の開業から約7か月が経ちました。

残念ながらファイターズはリーグ最下位という結果に終わりましたが、レギュラーシーズン終了後もボールパークから目が離せそうにありません。

エスコンフィールド(4月29日筆者撮影)

◯「球場」から「まち」へ

今月10日、Fビレッジを運営するファイターズスポーツ&エンターテイメント(FSE)と北海道医療大学、北広島市の3者の間で、大学のキャンパスの移転や病院の新設を含む共同まちづくりに関する基本合意が締結されました。

地域社会と協力し持続可能なまちづくりに寄与する「共同創造空間」の実現を目指すFSE、来年開学50周年を迎え、新たな将来計画を模索する大学、地域の活性化を目指す市の思惑が一致したものと見られます。

Fビレッジ内には、レジャー施設の他、マンションや認定こども園があり、来年にはシニアレジデンスやメディカルモールが開業する予定です。また、球場近くにはJR北海道の新駅設置も計画されており、これに大学と病院が加わることで、「球場」は一つの「まち」へと変貌を遂げようとしています。

 

◯分かれる明暗

ただ、大学の移転がもたらすのは明るい話題ばかりではありません。

現在のキャンパスがある当別町では、移転は衝撃をもって受け止められています。

人口1万5000人ほどの町にとって、3000人以上の学生を擁する大学の存在は地域の活性化にとって不可欠でした。両者の共存関係は、半世紀におよびます。しかし、今回の移転計画は、直前まで町側には伝えられていませんでした。

影響は、地域交通にもおよびそうです。

現在、JR札沼線(学園都市線)の終着駅は北海道医療大学駅です。今回の移転で、利用者は大幅に減ることが見込まれます。発着本数の減少が予想され、状況によっては駅の廃止も考えられます。ただ、JR北海道は現在駅の名称変更を検討しているといい、直ちに存廃の議論につながる可能性は低いでしょう。

 

自治体による地域の活性化政策は、限られたパイの奪い合いといった様相を呈しています。今後、同様の事例は頻繁に見られるようになるでしょう。

こうした際、明るいニュースだけでなく、その陰で起きている出来事にも目を向けることが不可欠です。

 

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参考記事:

10月11日付 日本経済新聞朝刊37面(北海道経済)「日ハム球団の「Fビレッジ」 北海道医療大が進出 進む拠点集積 観光地としても定着」

10月11日付 朝日新聞朝刊22面(北海道総合)「北海道医療大移転、3者合意 学園・FSE社・北広島市 Fビレッジ内、新キャンパス/北海道」

10月11日付 読売新聞朝刊(東京)32面(道社B)「[岐路 道医療大移転](上)共生半世紀 突然の「別れ」=北海道」

10月11日付 読売新聞朝刊(東京)33面(道社A)「道医療大移転合意 学生獲得激化 大学側決断=北海道」

参考資料:

当別町「行政区別男女別住民基本台帳人口 令和5年10月1日現在」

北海道医療大学「収容定員・在籍学生数・収容定員比率(2023年5月1日現在)」

北海道医療大学「北海道ボールパークFビレッジ 共同まちづくりに関する基本合意締結について」

北海道医療大学「北海道ボールパークFビレッジ 新キャンパス設置について」

HOKKAIDO BALLPARK F VILLAGE「北海道ボールパークFビレッジ 共同まちづくりに関する基本合意締結について」

HOKKAIDO BALLPARK F VILLAGE「HOKKAIDO BALLPARK F VILLAGE 多世代交流の場を目指し、シニアレジデンス、メディカルモールの開業を決定」

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