AIの活用はどうあるべきか

10月に入り、各紙では国内外の企業でのAIの活用や対応が大きな話題となっています。AIの急速な発達が人類の脅威になりかねないと言われるなか、AGI(汎用人工知能)と呼ばれるものまで出てくると、疑問が湧いてきます。「なぜそこまで推進しようとするのか」そして「人間の役割はどうなっていき、どう対応すべきなのか」。今月4日に開かれた法人向けイベントでの孫正義ソフトバンク会長兼社長の講演から考えていきます。

孫氏は人知を超すAIであるAGIを今後10年以内に作る方針を明らかにしました。今後、AGIの能力は全人類の知識量の10倍以上に達し、運輸や製薬など全ての産業に影響を与えるといいます。

では、そもそもAGIとは何でしょうか。AGIは、ChatGPTのようなAIとは少し異なります。ソフトバンクのビジネスブログによると、Artificial general intelligenceの略で、人間のように汎用的な知能をもちます。さまざまなタスクに対して人間と変わらない知識をもち、独自の学習や問題解決の能力を備えている、とされます。今までのAIは、人間が蓄えた知識を頼りにタスクをこなしていましたが、AGIでは自らが考えて行動できるようになるというわけです。いわば、国民的アニメスターのドラえもんが誕生するようなものだと筆者は捉えています。

この講演会を通じ、私たちにとってAIを使いことなすことは大きなメリットがあるように感じられました。孫氏も、AIやAGIを使わないことは私たちが電気や自動車を使わないのと同じで、これらを使うことは人間のさらなる発達に繋がると語っていました。ただ、AGIやAIは人間があってこそ機能するものだと考えます。これらが活躍できるまでの道筋を築きあげてきたは人間だからです。だからこそ、私たち人間は、どうこれらと関わっていくのかを、常に考えていく必要があります。人間の役割が奪われるようなことがないように、AGIの関わる政府や企業は、その用途をしっかり考えた上で開発に取り組んでいく必要があると考えます。

そして岸田首相が今月1日のSTSフォーラムで「信頼できるAIの実現に向け、日本が主導して国際ルール作りを進めている」と述べたように、一定の規制をしていく必要もあると考えます。

 

参考記事

2日付 読売新聞朝刊(13版)1面「生成AI規制『日本主導』」

13日付 読売新聞朝刊(12版)8面「中国式生成AIの難略」

5日付  日経新聞朝刊(12版)3面「人知超すAI『10年以内に』」

参考資料

ソフトバンクビジネスブログ

日経新聞 映像『ソフトバンクG「人知を超えたAGIが10年以内に実現」』