試合がない日も楽しめる⁉北海道ボールパークFビレッジ

「HOKKAIDO BALLPARK F VILLAGE」(Fビレッジ)と、その中核施設であるプロ野球・日本ハムの新本拠地「ES CON FIELD HOKKAIDO」(エスコンフィールド)の開業から3か月が経とうとしています。温泉やサウナ、ホテル、クラフトビール醸造所までも備えた「世界がまだ見ぬボールパーク」は、野球ファンのみならず多くの人々を魅了しています。

球場外観(4月29日筆者撮影)

先月下旬、Fビレッジの現況報告(「HOKKAIDO BALLPARK F VILLAGE REPORT―Spring 2023―」)が公表されました。今回は、この報告をもとに、新球場のいまをお伝えしたいと思います。

○約4割が野球観戦以外の来場者

報告によると、3月12日から5月14日までの期間に、Fビレッジには90万人が来場し、うち38%は野球観戦以外の来場者でした。試合がない日も、平日約5,000人、休日約1万人が来場しています。これは、「球場は野球を見に行くものだ」という感覚からすれば驚くべきものでした。

そこで、すぐさま試合がない日に球場を訪れてみました。

日曜日のお昼時、あいにくの雨天にも関わらず場内は多くの人でにぎわっていました。試合がない日は客席やコンコースの一部は無料で入ることができます。客席では、家族連れやカップルなどが食事や談笑を楽しんでいました。

試合がない日曜日の球場内の様子。多くの人でにぎわっていることがわかる。(いずれも6月4日筆者撮影)

新たな客層の取り込みを狙い、様々なイベントも企画されています。筆者が訪れた日は、各地のブルワリー(ビール醸造所)が集い、個性あふれるクラフトビールを提供していました。

球場内でのイベントの様子(6月4日筆者撮影)

イベントで販売されていたクラフトビール(6月4日筆者撮影)

○道内有数の行楽地へ

報告では、札幌ドーム時代に比べ、道外からの来場者の比率や、団体来場者数が増加していることにも触れられていました。

道外からの来場者比率は札幌ドーム時代の10%ほどから倍増し、団体観戦でのチケット購入枚数は9月末までの予約ベースですでに2019年の約4倍に達しています。筆者はすでに3度観戦していますが、毎回、修学旅行中と思われる団体を見かけました。

このことは、Fビレッジが道内でも有数の観光地の一つとなりつつあることを示しているといえるでしょう。運営会社によると、今年の年間来場者数の目標は300万人で、道内行楽地の来場者数1位になる見込みだといいます。旭山動物園の2019年の年間入園者数が約140万人ですから、新球場への注目の高さがうかがえます。

○課題も

ただ、開業当初から指摘されてきたアクセス面の課題は残っています。

球場は最寄りの北広島駅から徒歩25分前後の距離にあります。そのため、車やシャトルバスの利用客が多く、試合後、道路には車があふれ、バス停には長蛇の列ができます。

試合後、バスを待つ長蛇の列(6月8日筆者撮影)

しかし、これまでにバスの増便などの様々な対策が講じられており、これらの課題は解消する方向に向かいつつあるといいます。来場者アンケートからも、不満は総じて減少傾向にあることが分かります。現状では改善策が一定の効果を上げているものと思われます。

○進化し続けるボールパーク

開業からすでに3か月が経とうとしていますが、Fビレッジはまだ進化の途上にあります。

今月上旬には、新たにドッグランとアドベンチャーパークがオープンしました。球場周辺では現在も関連施設の工事が続いています。絶え間ない変化はリピーター客の増加にもつながるでしょう。

依然として課題は残っていますが、進化し続けるボールパークの今後に期待が高まります。

 

参考記事:

5月31日付 読売新聞朝刊(東京)23面「エスコン 行列改善 開幕戦から2か月 バス増便、帰宅分散=北海道」

5月30日付 読売新聞朝刊(東京)20面「「エスコン」 2か月で90万人」

参考資料:

HOKKAIDO BALLPARK F VILLAGE ホームページ

HOKKAIDO BALLPARK F VILLAGE「HOKKAIDO BALLPARK F VILLAGE REPORT―Spring 2023―」

旭川市 旭山動物園「旭川市旭山動物園 年度別入園者数(昭和42年度~令和4年度分)」