私たちとアートを結ぶ メディアの役割とは

私たちとアートを結ぶ身近な存在と言えば、美術館でしょうか。大学生の筆者も、展覧会のチケットを取り、先日国立西洋美術館と東京都美術館を訪れました。東京に行く機会があれば、必ず美術館に立ち寄ります。いつ行っても興味深い展覧会が開かれており、愛知県に住む筆者にはうらやましく思えます。

日本の美術館では、数多くの企画展が開催されています。それを裏で支えているのは、実はメディアなのです。展覧会のパンフレットを見ると、主催の中に新聞社やテレビ局の名前が挙げられています。例えば、現在東京都美術館で開催されている「マティス展」では、朝日新聞社やNHKが、国立西洋美術館で開催されている「憧憬の地 ブルターニュ」では、TBSや読売新聞社が主催となっています。メディアでは、イベント企画の部門が設けられており、展覧会・博物展、スポーツ大会といった各種イベントを手がけているのです。展覧会の企画・立案から宣伝・広報、グッズ製作、当日の運営まで携わっています。言わば、展覧会のプロデューサーなのです。もちろん専門的な知識を有する学芸員や美術館の助けは、必要不可欠です。しかし、展覧会の開催において、メディアの果たす役割はかなり大きいと言えるでしょう。

それに加え、メディアそのものが持つ情報発信力は、大きなインパクトを与えます。私がアルバイトしているミュージアムショップでは、オリジナル商品として、モディリアーニの作品「おさげ髪の少女」のツボ押しを販売しています。この商品が朝日新聞夕刊で取り上げられると、電話から多くの注文を受けたのです。また、朝日新聞朝刊では、「マティス展」の特集が見開きで組まれていました。カラーの写真がふんだんに使用されており、紙面上でもぱっと目を引かれます。新聞に掲載されることで、たくさんの人の目に触れさせたり、注目をより集めたりすることが可能になるでしょう。

これまで何度も美術館に行っていましたが、メディアの存在を意識することはあまりありませんでした。しかし、私がこれまで楽しんできた展覧会のほとんどは、メディアによって支えられていたのです。

参考記事:

10日付 朝日新聞朝刊(13版) 16・17面

5月16日付 朝日新聞夕刊 4面