進化するAI技術 ChatGPTを使ってみた

日々、発展していくデジタル技術。例えば、お絵かきAI「お絵描きばりぐっどくん」。LINE上で言葉を入力すると、それをテーマにイラストを描いてくれます。

(スクリーンショット、「お絵描きばりぐっどくん」LINEアカウントでお題を出すことができる)

 

なかでも、最近話題になっているのが「ChatGPT」。アメリカのスタートアップ企業「オープンAI」が開発した対話型の人工知能です。どれほど便利なのか。筆者もアカウント登録をし、実際に使ってみました。

独創性△ 膨大なデータの要約という印象

感想を一言で言うと、「知識は豊富だけれど、オリジナリティは期待できない」です。
以下、3つの観点からChatGPTにそれぞれ指示を出してみました。
①知識力
②創造性
③政治的意見、思想

まず①知識力を問うものとして、「『リンゴ』をテーマにエッセイを書いて」とお題を出しました。すると、約2,000字ものボリュームの文章を10秒足らずのうちに完成させました。内容は主にリンゴの歴史、栄養、文化的重要性の3本立てでした。最初と最後には丁寧に導入と終わりの文章もあり、それなりの情報が簡潔にまとめられていると感じました。

(スクリーンショット、紫色のアカウントが筆者、緑のものがChatGPTの回答)

次に②の独創性です。「星新一のショートショートを真似して小説を書いて」とリクエストを送ったところ、「青空」というタイトルのお話が返ってきました。内容は青空が好きだった彼女に難病が発覚。彼女は亡くなってしまいますが、主人公は青空を見て彼女との幸せな時間を忘れずに前に進んでいく、というもの。AIが書いたと言われれば感動しますが、話としてはどこかで聞いたことがあるような中身だと感じます。

また、「ゴジラと桃太郎が戦うSFアクション物語」を書くようチャットを送ると、「ゴジラVS桃太郎:異次元からの侵略者」というストーリーができました。お題自体が突飛だったためか、個人的には奇天烈で面白いと感じましたが、ところどころ日本語のおかしい箇所(写真赤線)も見受けられました。このお話では、ゴジラと互角に戦えないと判断し、桃太郎は科学者を頼ったはずなのに、なぜか次の段落では「神々からの協力」を求めるなど、話の辻褄が合わない部分がありました。

「桃太郎」というキーワードに対しての反応についても、「桃太郎」という名前の人物が登場するだけで、「きびだんご」「鬼退治」などの要素は全くありませんでした。人名と認知しただけで、それ以上のニュアンスを読み取る水準には達していないのかもしれません。

(スクリーンショット、筆者のリクエストに対するChatGPTの回答)

最後に③の政治的意見、思想についての質問をしました。「岸田政権」「フェミニズム」などをどう思うのか問うたところ、どちらにも「人工知能であるため、特定の意見を持たない」「中立な立場でデータに基づいた回答を提供することが目的」などとの回答が返ってきました。特定の意見に傾倒しないよう、プログラミングされていると分かります。

ChatGPTは“チート”の温床になるか

オリジナリティはあまりありませんが、ChatGPTは知識面では人間が及ばないような膨大な貯えを持っています。学校の課題や期末レポートにも悪用できると感じました。実際に、過去に受けた授業のレポート課題をそのまま入力したところ、百点満点とまではいきませんが、ざっくりとした回答を作成してくれました。

今でも既に、自力で辞書を引かずに、Google翻訳やDeepLなどの翻訳ツールを使って授業に臨んでいる生徒は少なくありません。社会に出てしまえば、送った言葉に対応して、機械が上手く文章を書き上げてくれるのは便利かもしれません。

しかし、学びの場では自分の頭でアウトプットできるようにすることが求められています。大学でレポートを書く機会が多いのには、そうした力を磨く目的もあります。将来、AIに仕事を取って代わられないためには、自分の頭で考え、それを形にする能力が必要でしょう。語学の授業で翻訳サイトをフル活用してしまった筆者の反省としても、肝に銘じておきたいものです。

 

参考記事:

3月8日配信朝日新聞デジタル、「ChatGPTで『さらば宿題』?岐阜県議会で教育への影響議論」