北朝鮮までわずか4.5km…民間人統制区域に住む人々

3日、韓国と北朝鮮の間に位置するDMZ(Demilitarized Zone)を訪問しました。朝鮮戦争の休戦ラインに沿って設けられた非武装地帯です。2018年に韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩総書記が南北会談をした板門店もDMZに位置します。周辺は基本的に民間人の出入りが規制されていますが、ツアーを利用することで韓国人はもちろん外国人も立ち入ることができます。

筆者が参加したツアーではまず、北朝鮮が韓国に侵入するために掘った第三トンネルを通り、軍事境界線から170メートルの地点まで足を運びました。1953年に朝鮮戦争は休戦となりましたが、第三トンネルをはじめとする南侵トンネルは休戦後に軍事境界線を地下から抜けるために作られたものとされます。また、トンネルの後に訪れた都羅展望台からは2020年に金正恩総書記の妹である金与正氏により爆破された南北共同連絡事務所の跡を見ることができました。休戦したとはいえ、現代に至るまで南北の戦争は終結していない現実を改めて感じました。

ツアー中に立ち寄った売店で購入することができた北朝鮮の紙幣。いつか南北関係、日朝関係が改善し、北朝鮮に渡航できるようになれば使えるかも…? 

北朝鮮の近くまで行き朝鮮半島の分断を肌で感じたツアーでしたが、もう一つ興味深かったのがDMZ内にある集落。軍人境界線からわずか4.5kmしか離れていない「統一村」です。立ち寄ることは出来なかったのですが、バスで村内を通過しました。

現在でも軍事境界線の近くに住むことには危険が伴います。しかも統一村が位置するのは通常自由に立ち入ることができない民間人統制区域。そこに住むことを許可され、暮らしているのはどんな人たちなのでしょうか。

統一村には、現在でも400名ほどが住み、主に高麗人参や豆などの農作をしているそうです。小学校もあり、数十人が通っています。統一村に居住できるのは、朝鮮戦争が休戦した当時の住民と、その直系の子孫だけです。72年に当時の朴正煕大統領が食料増産と安保強化のために村の開発を指示し、73年に下士官や元の住民ら80世帯が住みつき、統一村が形作られました。

危険な環境にあるため、村は一日中警備を受けており、夜間の外出制限もあります。民間人統制区域の外に出て4カ月経過した場合、許可を受けなければ再び村に戻ることができないなど、生活上の制約も多くあります。

その反面、納税や男性に課される兵役が免除されるなどの恩恵もあります。また、住民の平均年収はおよそ1億ウォン(1000万円ほど)と、韓国の他の地域の農民と比べ高くなっています。

分断の現場を一番近くで見守り続けてきた統一村。地雷の多く残る土地を開拓するなど、戦争と対立の存在を体感してきたからこそ統一への想いが強いと言います。南北融和さらには統一が実現した時には、北朝鮮と韓国の架け橋となってくれるのではないでしょうか。

 

参考

12月3日付 北海道新聞20面「軍事境界線の手前で」

8月22日付 ハンギョレ新聞「分断現場で平和・繁栄を願い、50年を迎えた統一村(분단 현장에서 평화・번영 염원하며 50년 맞은 ‘통일촌’ 마을)」

統一村ホームページ