空き地もついに

「新しいのがいよいよ着工だな」

23日付の読売新聞の4コマ漫画「コボちゃん」での一言です。建設費高額化によって批判が高まっていたこの問題。やっとスタートラインに立てるようになったと思う人も多いのではないでしょうか。

オリンピックの事業主体であるJSC(日本スポーツ振興センター)は22日、A案で建設することを決めました。「木と緑のスタジアム」が主なコンセプト。大成建設などが提示し、建築家の隈研吾氏がデザインしたものです。「どっちがいいか?」と2つのデザイン案に注目が集まりました。A案だろうがB案だろうが、正直どちらでもいいと冷ややかに考えてしまいます。むしろ関心は一体どのくらい最終的にいくらかかるのかにあります。

国と東京都は1日、新国立競技場の整備費や関連経費などの総工費1581億円の負担割合について合意しました。その内訳は国が2分の1の791億円、東京都負担とスポーツ振興くじ(toto)財源が4分の1ずつの395億円。totoとは、国際競技力の向上やスポーツ振興政策の財源確保を目的に2001年に導入され、JSCが販売しているものです。

その売り上げの使途として、toto財源の助成金や国庫納付金があります。現在、新国立の財源に充てられる割合は5%。しかし来年度にも法改正で10%に引き上げる方針です。国の負担分の一部にもtotoの「国庫納付金」が充てられることになっており、これからの割合の変更や20億円の運営費削減をふまえると新国立整備の半分以上がtoto頼みです。

この枠組みはtotoの売り上げを今の水準から落とさないことが前提にあります。収入が落ち込んだ時にどうするのか。売り上げを確保する対策はあるのか。なんとも心配です。広告費などに力を注ぎたいものですが、運営費は削減されています。新商品の開発や今までの広告のあり方を検討することが求められるでしょう。

昔はツケ払いで年末にまとめて支払いました。年内にお金を集めて回らなくてはいけないので普段走らない師匠まで忙しさのあまり走ってしまう―。師走の由来の一つです。あとになって大変だと騒いでは困ります。今は、何が必要か、どんな費用がかかるのかスポーツ庁を中心にして精査している最中です。紙面では、建築論を教えている大学教授がプロセスの透明性を国民に受け入れられる鍵だと紹介しています。これからしっかり公開してほしいところです。

 

参考記事

24日付 読売新聞朝刊 東京12版 31面 新国立競技場デザイン決定

5日付  日本経済新聞夕刊 東京4版 9面(社会) 新国立、toto頼み

23日付 読売新聞朝刊 東京14版 39面 コボちゃん(11964)