IR誘致 説明尽くして進行を

カジノを含む統合型リゾート(I R)の事業計画である「区域整備計画」の認定申請が28日に締め切られました。申請を行ったのは、大阪府と長崎県の二つ。審査・認定を経て2020年代後半の開業を目指します。

大阪府は大阪湾の人工島にカジノや三つ星ホテル、国際会議場を整備、長崎県も佐世保市にあるテーマパーク「ハウステンボス」にカジノやホテルを建てる計画だと言います

I R誘致によって、観光客や雇用の増加などの経済効果が期待される一方、周辺地域への影響やギャンブル依存症などの問題もあり、賛否が分かれる問題となっています。

候補地の一つとなっている長崎県は筆者の出身地です。建設予定地であるハウステンボスには家族や友人と何度か訪れたことがあります。

自分の地元にI Rができることについて、当初は「良いことじゃないか」と思っていました。大きな施設ができれば、多くの観光客や企業を呼ぶことができ、雇用が生まれ、地域の活性化になる、と。実際、申請を行った2府県の試算によるとI R運営による年間の経済波及効果は計約1兆4700億円で、来訪者数は約2670万人を見込んでいます。これだけの人が長崎を訪れてくれるようになれば、地元の食材や商品を知ってもらえることにもつながります。少子高齢化や仕事がないからと多くの若者が県外で就職をし、人口流出が進む現在の状況から考えても、メリットは大きいのではないかと思いました。

一方で、反対派の理由にもしっかりと目を向けなければなりません。先にも述べた通り、カジノを含む統合型リゾートということで、ギャンブル依存症の問題をどうするかという問題があります。対策として、I R整備法で全ての国内客に週3回、月10回までの入場制限を設けるなどがされていますが、効果があるのか疑問に感じます。回数制限をしたところで、1回あたりに使用するお金を増えてしまうだけかもしれないし、依存症になれば制限いっぱいまで通ってしまうでしょう。

地域への影響に関しても、よく考える必要があると思います。カジノが出来たり、多くの人々が集まったりすることによって、周辺の治安が悪化するなどの可能性も考えられます。どのような問題が起こるにせよ、最も影響を受けるのはその土地の人々ではないでしょうか。今後、計画が進んでいくに当たって、住民の不安に向き合い、事業計画について透明性を持って説明を行っていくことが重要だと考えます。

I Rの誘致には巨額の投資が行われます。自治体の負担も小さくはないはずです。良い面と悪い面、両方をしっかりと踏まえ、地元の人々の意見も聞きながら、計画を進めていってほしいと思います。

 

参考記事:

4月28日付読売新聞オンライン「計画頓挫が相次ぐIR、大阪府・長崎県が整備計画を申請…きょう期限で申請は2府県どまり」

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20220427-OYT1T50183/

4月28日付日経電子版「IR計画申請、大阪・長崎の2府県のみ 経済効果は1.5兆円」

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA276VA0X20C22A4000000/