変わる「成人」 求められるものは?

4月1日から改正民法が施行され、18歳から成人となりました。なぜ今のタイミングで成年年齢が変わったのでしょうか。

まず今回の成年年齢引き下げの狙いは3つあります。まず1つ目に若者の社会参加の促進、次に重大犯罪における少年法批判への対応、最後に、男女で異なる結婚年齢を揃えることです。これらを理由に成人はが20歳から18歳へとなったのです。

今回の法改正について、アンケート調査を行いました。

(筆者作成)

 

対象は大学の知り合い10人、そして原宿で行った街頭調査に応じてくれた13人の計23人です。わずかに反対派が多いものの、それぞれ同程度の割合になっています。

各項目の特徴を分析してみたいと思います。

(筆者作成)

18歳未満の人では賛成派は全くいませんが、その代わりどちらでもよいでは圧倒的多数になっています。反対派では、18未満と20歳以上が1,2人なのに対し、6人と多くなっています。選んだ理由として、賛成派では「若者の政治的意見が取り入れやすくなる」、「進学、就職と人生の節目となる18歳に自己決定権が制限されるべきでないため」という意見が挙げられました。逆に、反対派では「飲酒、喫煙、ギャンブルはダメとされており、ダブルスタンダードで矛盾している」「飲酒などの成人としての権利が一部制限されており、政府にとって得となるように操作された印象を受ける」などの声がありました。

私は今回の引き下げについては反対です。確かに、若年層の声が社会に届きやすくなることはいいと思いますし、少子高齢化が進む中で、少しでも若者の政治参加は推進されるべきだと思います。ですが、それだけを見るのならば、2016年に既に18歳に選挙年齢は変更され、足りているように思えます。正直なところ、成年年齢変更についても、どうして18歳が成人として妥当なのか、なぜわざわざ20歳から引き下げる必要があるのかについては、理念的な根拠ばかりで、本当に18歳は成人に足りうるのか疑問が残ります。

大学の授業で民法や憲法の判例を見てみると、案外世の中には揉め事が多いと気づきました。どんなに事件の原因が些細に感じられても、最高裁までいったケースというのはあります。やはり中学、高校の授業だけで、社会で生きていくための知恵や経験を身に付けることは難しいのではないでしょうか。私自身も、今18歳だとしたら、なにをどう気を付ければいいのか全く分からないと思います。アルバイトをしたり、行動範囲が広くなったり、学校以外での活動が増える10代後半は、大人になるまでの準備期間だったのだと感じます。

確かに、この改正は18、19歳の人が社会への関心を持つ契機になるかもしれません。ですが、契約トラブルなど、そのリスクや知識不足ゆえにカモとなってしまう新成人の被害も表裏一体です。実際に、上のアンケートで「どちらでもよい」に入れた18歳未満の5人にその理由を聞くと、「政治についての知識がないから何とも言えない」との回答を受けました。

賛成派も反対派も、その意見には理があると思います。だからこそ、制度の穴を埋めるように、形骸化したルールとならないように、新成人そしてもうすぐ18歳を迎える若者へ、知識というフォローが必要になるのではないでしょうか。

 

参考資料:

政府広報オンライン、「18歳から“大人”に!成年年齢引下げで変わること、変わらないこと。

法務省、「民法(成年年齢関係)改正 Q&A

朝日新聞EduA、「成人年齢が18歳に → 「なぜ今?」三つの理由を知っておこう

 

参考記事

1日付朝日新聞朝刊(東京14版)1面「18歳成人 きょうから」