ウクライナ侵攻、現地の日本人記者が送ってくる写真や記事が読みたい

連日、ウクライナ侵攻に関するニュースが報じられています。凄惨な戦地の様子を伝える写真のキャプションを見ると、APやロイター通信の記者が撮影した写真であることが分かります。英BBCやロシアのタス通信、ベラルーシのベルタ通信など海外メディアの情報を伝えている記事もあります。

2月25日、朝日新聞デジタルに「首都キエフで2度の爆発音 現地の朝日記者も地下シェルターに避難」という記事が掲載されました。168文字と短い内容ですが、爆発音を聞いて避難した記者の足取りが記されていました。他にも、首都キエフに残る住民を取材した記事もあり、現地に記者がいることが分かります。

 

それでも、日本人記者の記事は少なく、撮影した戦地の写真を新聞で見ることができないのはなぜでしょうか。1つは国内の新聞社が記者の数を減らしていること。さらに読者の情報の取り込み方の変化を映したためだと考えます。

「あらたにす」を支える朝日・日経・読売3紙の発行部数は年々減っており、それ以外の新聞も同じく減少しています。経営を理由に取材記者の数を減らしたり、支局の統合を図ったりする取り組みが進んでいます。署名記事が少なく、写真が見当たらないのは、ヨーロッパ地域の支局も特派員の数を減らしたり、取材拠点を縮小したりした結果なのではないでしょうか。

一方では、SNSの発達によって読者が直接、現地の様子を知ることができるようになりました。ウクライナ侵攻においても、街中で繰り広げられる戦闘の様子はツイッターやフェイスブックに投稿されています。個人が直接、見たい情報にアクセスできる時代です。記者が現地で取材するよりも早く、手軽に現地の様子を知ることができます。

ウクライナ侵攻に関して、日経新聞は衛星写真を活用した報道に力を入れています。1日に公開された日経電子版の記事「ロシア軍車列、約64キロの長さに膨張 キエフに進軍」では、ロシア軍の車列が27キロから64キロにまで膨張していることが報じられています。他にも、特設サイトを設置して、SNSからでは気づきにくいロシア軍の侵攻を伝えています。

しかし、最前線の様子を伝えるのは、やはり現地にいる記者一人ひとりのように感じます。SNSに投稿された戦地の様子には、不確実な情報が含まれている可能性があります。安全面には細心の注意が必要ですが、海外メディアが報じる記事や写真を掲載するのでなく、日本人記者が見た戦地の様子を知りたい。一連の報道を見て、強く感じます。

 

参考記事:

1日 日経電子版 「ロシア軍車列、約64キロの長さに膨張 キエフに進軍」

2月25日 朝日新聞デジタル 「首都キエフで2度の爆発音 現地の朝日記者も地下シェルターに避難」