いよいよ受験シーズン 日韓のコロナ対策 違いは?

 

韓国では昨日、大学入試「大学修学能力試験」が実施されました。「修能(スヌン)」と呼ばれるこの一斉試験。例年だと11月中旬に行われていましたが、今年は新型コロナウイルスの影響で12月3日になりました。朝日、読売、日本経済の3紙ともデジタル版に記事が掲載されており、大学入学共通テストを控えた日本でも注目が集まっていることがわかります。

ご存知の方も多いかと思いますが、スヌンは韓国の学生にとって人生が決まる日と言っても過言ではない、大事な行事(イベント)です。筆者も昨年留学をしていたので目の当たりにしたのですが、当日の街の雰囲気はいつもと違ってピリピリしていたように思います。ルームメイトの韓国人女子大生は「高校時代は学校と塾の行き来ばかりだった。辛かっとしか言えない。日本の高校生は青春を謳歌していてうらやましかった」と当時のことを振り返っていました。

さて本日のあらたにすでは、スヌンの中でのコロナ対策について触れたいと思います。全国一斉で行われた試験だけあって、会場には多くの受験生が集まり、三密になってしまうイメージが。韓国ではどんな対策をしたのか。また日本の大学入学共通テストはどのようにして試験を実施するのか比較したいと思います。

今回筆者が参考にしたのは、上記の3紙、聯合ニュースの記事、스브스 뉴스(SUBUSU NEWS)の動画、それから日本の文部科学省のガイドラインです。

 

⓵会場について

<スヌン>

机にアクリル板が設置され、試験中もマスクの着用が義務づけられた。(朝日新聞)

<大学入学共通テスト>

座席の配置は、なるべく1メートル程度の間隔を確保すること。(文部科学省。日本も韓国と同様、マスクの着用義務あり)

 

⓶昼ごはんについて

日韓どちらも友達と集まることなく、自分の席で食べること

 

③感染者の扱いについて

<スヌン>

韓国教育省は、受験生49万3433人のうち「感染確定者」と、濃厚接触の疑いがある「隔離対象者」を特別な試験会場に割り振った。感染確定者は病院内や自治体運営の施設内で、隔離対象者は一般の受験者とは別の試験会場で受験した。(日本経済新聞)

<大学入学共通テスト>

・発熱、咳等の症状のある受験生は、試験当日の検温で37.5度以上の 熱がある場合は受験を取り止め、追試験等の受験を検討すること。また、37.5度までの熱はないものの発熱や咳等の症状のある受験生は、その旨を試験監督者等に申し出ること。

・発熱、咳等の症状のある者や無症状の濃厚接触者のための別室を設けること。別室においては、基本的に概ね2メートル以上の間隔での座席配置を行うこと。別室は、大学等の実情に応じ、可能であれば医師、看護師等の待機場所から近い方が望ましいこと。(文部科学省)

 

大まかなところは以上です。

調べていく中でひとつ、面白かったことがあります。スヌンのマスク指定です。聯合ニュースの記事を読むと「一般の試験会場では一般のマスクを着用してもよいが、バルブ付きのマスクや網状のマスクは使用できない。発熱など新型コロナ感染が疑われる症状のある受験生が試験を受ける一般試験会場内の別室と、自宅隔離対象の受験生が使用する別の試験会場では、より感染予防効果の高い『KF(コリアフィルター)80』等級以上の保健用マスクを着用しなければならない」とあります。日本もマスクの着用義務はあるものの、ここまで詳細に決められていません。

 

左のマスクだと試験を受けることができ、右の網状のマスクだと受けられない

このあと動画では「もし試験を受けている間にマスクが破れてしまったら?」という問いにも答えていた

(스브스 뉴스(SUBUSU NEWS)の動画より)

マスクにどれだけ効果があるのかわかりませんが、今回調べてみて、全体的に韓国の方が事細かな対策をしている印象を受けました。日本の大学入学共通テストは残り一か月。さらに対策の内容を詰めていくことになるのだと思いますが、受験生が必要のないところでストレスがかからないよう、万全な状態にしなければなりません。

 

参考記事:(すべてデジタル版から)

12月3日朝日新聞「韓国で大学入試、感染で隔離中の学生も受験 応援は自粛

〃   読売新聞「韓国、厳戒態勢で入試…隔離中の受験生は救急車で会場に

〃   日本経済新聞「韓国大学入試、コロナ感染者も病院で受験 防疫策徹底

 

参考資料:

12月3日聯合ニュース(日本語版)「きょう大学入試 マスク着用しないと受験できず=韓国

12月2日스브스 뉴스(SUBUSU NEWS)「‘역대 최초 12월 수능’ 수험생 49만 명의 하루 / 스브스뉴스