近大大麻 正直な部員と真摯な大学

近畿大学サッカー部員5人の大麻使用。同じ大学生として、このニュースは衝撃的だった。恐怖を感じたのは「身近に入手方法がある」ということだ。Twitter、クラブから密売人とやり取りし、購入まで至った。SNSに関しては中高校生でも当たり前のように使っているので、早急な対応が必要だろう。

そして、今年3月、京都産業大学でクラスターが発生した時と似たような事態が起きている。ネットでの誹謗中傷、容疑者の特定など、やりたい放題だ。しかし、大学の対応、部員の行動は素晴らしいと思う。

 9月30日の練習後、部員からコーチに相談があり調査。10月1日の全体ミーティングで、2~4年の5人が自己申告して使用を認めた。

まず、勇気のある部員がいなかったら、大麻の使用は部内のみならず、学内に広がっていたかもしれない。また告発を受けてから、翌日にミーティングを開いたことも大きい。正直に自己申告したことも、無用な混乱を防いだという点で評価できることだ。

大学は同部を無期限の活動停止とともに、在校生約3万3000人を対象にアンケート調査すると発表。再発防止に向けて、全力で取り組む姿勢が見受けられる。

ここでひとつ疑問が。「指導者としての力不足に尽きる」と松井清隆監督は陳謝し、大学は活動停止を命じたが、今回に限っては部員の素行が問題だ。ましてや大学2~4年生と、成人になっているのにも関わらず、指導者として擁護するのはどうなのか。まずは他にも使用した部員がいないか調査した上で、無期限停止ではなく、その者を除名してから活動を続けても良いと思う。連帯責任は部活において根強い文化ではあるが、それは中高校生までにして、他の部員は活動に注力してほしい。悪いのはチームではなく、大麻を使用した部員だ。

「興味本位だった」「コロナで暇だったから使用した」と動機を述べている。入手方法も簡単なので、軽い気持ちではじめられる。大学生のみならず、しっかりと意識しなければならない。今回に関しては大学の責任はないと言っても過言ではない。むしろ、対応の早さと姿勢を評価したい。部員が正直に申告したことで、その後の処理はスムーズ進んだ。だからこそ、活動停止にしてほしくない。誹謗中傷を受けてほしくない。

参考記事:

6日付 読売新聞朝刊(大阪13版)33面「近大生5人 大麻使用」

同日付 日本経済新聞朝刊(大阪13版)39面「近大部員5人 大麻使用」