大学入学共通テスト コロナ対策が不十分?

大学入試センターが、共通テストの実施要項を公表しました。浪人生は「第1日程」しか選択できませんが、高3生は学校長が承認すれば「第2日程」で出願することが可能です。たかが2週間、されど2週間。試験を遅らせることができれば、高3生は休校による学習の遅れを多少挽回することが出来るでしょう。

(試験のスケジュール:文科省の資料より)

ただ、どれだけの人が第2日程を選択するかは未知数です。従来、センターの追試は、本試験より難易度が少し高めに設定されていました。今回もセンター試験同様に、難化してしまうのであれば、代替日程を選択するメリットは打ち消されます。難易度の調整がどうなるか不明なので、受験生は難しい選択を迫られることになりそうです。

試験会場の感染症対策も重大な懸案事項です。現在こそ、感染拡大が抑えられていますが、先行きは見当つきません。第2波、第3波が広がった場合に、ウイルスが遺伝子変化を起こして強毒化する可能性が指摘されています。気温が低くなると、病気が重症化しやすいという説もあります。ワクチンの供給は来春以降です。受験生は「ウィズコロナ」の状況下で試験に臨むほかありません。

筆者が2年半前に受験したセンター試験を振り返ると、いわゆる3密の状況が多かったように思います。試験会場の大教室には、百人以上の受験生が密集していました。騒音や強風を防ぐため、窓や扉が閉まっていました。休み時間になれば、教室内で談笑しあう人がたくさんおり、トイレの前には長蛇の列ができていました。従来のままでは、感染リスクが高いと言わざるを得ません。実施環境を工夫する必要があります。

災害対策も見直して欲しいものです。例えば、コロナ禍と地震が両方襲ってきたらどう対応するのでしょうか。阪神淡路大震災はセンター試験の翌日に発生しました。東日本大震災は国公立大学の後期入試の前日に起こりました。地震は時と場所を選びません。

とにかく、大学入試センターはありとあらゆる可能性を想定する必要があります。試験日程の選択肢を増やすことだけでなく、感染防止策や緊急時の対応マニュアルを練り直し、公表して欲しいと思います。受験生55万人の人生が懸かっているのですから。

 

参考記事:

1日付 朝日新聞朝刊(大阪14版)25面「共通テストの『第2日程』 校長認めれば受験可能」

同日付 読売新聞朝刊(大阪13版)29面「受験日程生徒が選択 共通テスト 校長の承認条件」

 

参考資料:

文部科学省「入学者選抜実施要項」

https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/senbatsu/1346785.htm