日豪EPA、貿易は社会を変えるか

日本とオーストラリアの経済連携協定(EPA)が本日15日、発効しました。これにより関税が引き下げ・撤廃され二国間の貿易はより活発になることが見込まれています。オーストラリアは日本が国同士で結んできたEPAの中では最大規模の貿易相手国です。流通大手のイオンでは全国約1200店舗で「日豪EPA発効記念フェア」が開催される予定で関税引き下げの対象である牛肉やワインが値下げされて販売されます。農業大国であるオーストラリアからの農産物の輸入がこれまで以上に増え、消費者にとっては日常的に恩恵を受けることが出来るEPAとなりそうです。

同じく農業大国であるアメリカは、日本の農産物輸入ではオーストラリアとシェアを奪いあう競争相手です。環太平洋経済連携協定(TPP)の締結に向けて、日米の事務レベル協議が14日に再開されました。偶然のタイミングですが、日本はオーストラリアとのEPAを交渉カードにこれまでより有利な立場で交渉に臨めるのではないでしょうか。

今回のEPAではモノによる恩恵だけでなく、投資の障壁を取り除き日豪の企業が一段と密接になる効果も期待されます。これまでは日本企業が一定額以上の投資を行う際には豪州当局の審査を必要としていましたが、審査対象基準が緩められることで、より自由に投資することが出来るようになりました。オーストラリアは貿易の面では互いに補い合うことが多く、両国間の旅行者も多いなど最も友好的な関係を維持している国のひとつであると思います。自国内に相手国の企業が進出してくることの方が、関税の引き下げや撤廃以上に互いを近づけるのではないでしょうか。

歴史上、日本のみならず世界の国々にとって貿易の変化は生活に大きな変化を与えてきました。今回の日豪EPAは両国の関係に何かしらの「化学変化」をもたらすのでしょうか。ただ有利な貿易が行えるようになっただけに終わらせたくありません。

【参考記事】
1月15日付 朝日新聞朝刊 経済面「日豪EPAきょう発効」
同日付    讀賣新聞朝刊 経済面「日豪EPA発効 肉・ワイン値引き」
同日付    日本経済新聞朝刊 経済面「豪でのM&A容易に」

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