大幅に進む人口減少 若者世代の関係人口は地域づくりの担い手となるか

総務省は12日、2023年10月1日時点の日本の人口推計を発表しました。外国人を含む総人口は前年より59万5千人少ない1億2435万2千人。13年連続で減少しました。都道府県別では38道府県で前年からの減少率が拡大し、15県で1%を超えました。

各都道府県で人口減少や少子高齢化が問題視されるなか、内閣府や総務省は地方創生のために「関係人口」の創出や拡大を目指す施策を展開しています。

「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指しています。16年11月に総務省が「これからの移住・交流施策の在り方に関する検討会」を設けてから、政策などで用いられるようになりました。

「関係人口」創出へ向け、総務省は18年度から20年度までの3年間、地域外の人が関わりを持ってくれる機会の提供に取り組む自治体を支援する「関係人口創出・拡大事業」を実施しました。20年度のモデル事業に採択された自治体の一つが、徳島県海部郡牟岐町です。

県南部に位置する牟岐町は、温暖な気候と豊かな自然環境に恵まれた小さな漁師町です。人口は3500人ほどで、年々減少傾向にあり、15年の国勢調査では年少人口の比率は7.9%(336人)、生産年齢人口の比率は44.11%(1880人)なのに対して、老年人口は48.0%(2043人)を占め、全国平均(年少12.6%、老年26.6%)や徳島県平均(年少11.7%、老年31.0%)と比較して、少子・高齢化が著しい自治体でもあります。大学はもとより高校もありません。

しかし13年から現在に至るまで、町には毎年多くの若者が訪れ、様々な活動、取り組みが絶えません。なぜ足を運ぶのか、またどのような若者が集うのかを探るため、昨年夏、筆者は関係人口として活動する大学生を支援するNPO法人のインターンシップに参加し、1カ月間現地で暮らしました。

かねてより牟岐町では、県の教育委員会が運営する学習施設「県立牟岐少年自然の家」で高校生向けのサマースクールが開催されていました。全寮制のリベラル・アーツ&サイエンス教育をモデルとしています。県教委からの委託を受けた一般社団法人HLABに所属する国内外の大学生40人前後が運営委員として企画にあたり、50人前後の高校生が参加していました。

初年度のサマースクール後には「町に恩返しをしたい」という思いを持った県内外の大学生らによってNPO法人ひとつむぎが組織され、世代交代を繰り返しながら町内の中高生に向けた教育活動が継続的に行われるようになりました。サマースクールとそれに続く学生による団体設立こそが、牟岐町に若者が訪れる最初のきっかけでした。

また近年、大学の地域実習の受け入れが盛んになったことも、若者がやってくる要因のひとつになりました。大学生らはゼミ活動の一環として、例えば町内の特産品を用いたアレンジレシピを開発して販売したり、町外に進学・就職した牟岐町出身者との関係を深めるため、関西圏の商店街と連携して特産品を販売したりしています。とはいえインターンシップ中に出会った学生の多くは、ゼミ活動のためだけではなく、ここで活動している人と交流するなど、個人的な目的から滞在していました。

大阪府内の大学に通う大学3年生(当時)の学生は、牟岐町のことを「(若者)関係人口同士が繋がれる街」と話していました。実際に牟岐町には10年間で累計1000人以上の大学生が訪れています。

ただ、若者世代の関係人口の創出が地域にどのような効果をもたらすのか、その成果は短期的には図りにくいように思います。またそもそも関係人口かどうかをいかにして判断するのか、疑問が残ります。

若者世代の関係人口は地域づくりの担い手になり得るか、牟岐町の挑戦を長期的な視点で探っていきたいと思っています。

 

参考資料:

13日付 読売新聞朝刊(東京13版)1面「人口「自然減」最大83万人 17年連続75歳以上2000万人台」

13日付 朝日新聞朝刊(東京13版)3面(総合3)「75歳以上、初の2000万人超え 人口59万人減、13年連続マイナス」

 

参考資料:

総務省 関係人口とは

総務省 「これからの移住・交流施策のあり方に関する検討会報告書」の公表

牟岐町 牟岐町総合計画

牟岐町 牟岐の奇跡