「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々」の囃子唄で知られる阿波踊り。筆者は今月12日、実際に足を運び人生で初めて鑑賞しました。
400年を超える歴史を持つといわれる徳島を代表する伝統芸能です。現在では徳島だけでなく、東京の高円寺や埼玉の南越谷など、全国各地で開催されています。その起源については「築城起源説」「風流おどり起源説」「盆おどり起源説」の3つの代表的な説があります。
築城起源説では、1587年に蜂須賀家政によって徳島城が完成した際、その祝賀行事として城下の人々が踊ったことが始まりとされています。一方、風流おどり起源説では、能楽の源流ともいわれる「風流」の影響を受けた踊りが原型になったと考えられています。そして盆おどり起源説は、その名の通り、もともとは盆おどりだったものに「組おどり」や「俄」などの要素が加わり、現在の形へと発展したという説です。
- 阿波踊りの基本構成
踊り手のグループを「連」と呼びます。連は基本的に①男踊り、②女踊り、③鳴り物の3つのパートから成ります。
①男踊り
男踊りとは腰を低く落としダイナミックかつ力強く、躍動感あふれる動きで踊るのが特徴です。阿波扇のように扇を持ったり、ほんま連のように提灯を持ったりして踊る連もあります。
扇を持って踊る阿波扇の男踊り
(2026年8月12日筆者撮影)
②女踊り
女踊りとは頭には深く「編み笠」をかぶり下駄のつま先で立ち、すり足のように優雅に移動します。手や指先のしなやかな動きと、優雅で艶やかな美しさが特徴の踊りです。
女踊り
(2026年8月12日筆者撮影)
③鳴り物
三味線や笛、鉦や太鼓などを奏で、踊りを盛り上げています。名門連の一つ「娯茶平」は100人を超える大編成であり、楽器の響きに圧倒されました。
娯茶平の鳴り物
(2026年8月12日筆者撮影)
- 連によって踊りが違う!?
連によっては、女踊り、男踊りに加えて女法被踊りや子ども踊りなど、さまざまなパートを組み合わせています。また、「正調」と呼ばれる伝統的なスタイルがある一方、それぞれの連が独自のアレンジを加えている場合もあります。そのため「どの連を見ても同じ」というわけではありません。
同じ阿波踊りという大きな枠の中で、それぞれの連が自分たちらしい踊りを作り上げていることが面白さの一つなのです。伝統ある有名連のほか、企業連や学生連などもあり、その数は1000を超えるともいわれています。実際、筆者が鑑賞した際は企業のバスケットボールチームが参加しており、シュートポーズを振付の中に取り入れていました。その他にも男踊りを豪快に見せる連もあれば、女踊りの優雅さを前面に出す連もあります。
- 阿波踊りがギネスに?
徳島の「こけら連」は2019年「チームで阿波踊りを踊り続けた最長記録」に挑戦し、12時間以上にわたって踊ってギネス世界記録を達成しました。
こけら連の高張り提灯
(2026年8月12日筆者撮影)
- 街中も熱気に包まれる
筆者が鑑賞したのは徳島市の藍場浜演舞場です。新町川沿いの藍場浜公園内に設けられた屋外の演舞場で、徳島駅からも近く、2026年は約120メートルの会場に約4600席が用意されています。しかし、魅力は演舞場の中だけにとどまりません。
街中で突如始まる踊り
(2026年8月12日筆者撮影)
徳島の街を歩いていると、道路や街角でも踊りが繰り広げられています。演舞場では、決められた場所で連が一体となった迫力のある踊りをじっくり見ることができます。一方、街中では、より自由で開放的な雰囲気の中で楽しめます。そして、さらに素敵なのが、踊り手だけではなく、祭りに訪れた人も踊りの輪に加われることです。観客が実際に参加できる「にわか連」もあり、見て楽しく参加しても楽しいのが最大の特徴と言えます。
初めて鑑賞して感じたのは、同じ「阿波踊り」でも、連によって踊りや音楽、衣装にさまざまな個性があるということです。そして、演舞場を飛び出せば、街中で突然踊りが始まり、観客までもが加わります。伝統を受け継ぎながらも、それぞれの連が自分たちらしい踊りを表現し、見る人も踊る人も一緒になって楽しめる。そんな自由さこそが、400年以上にわたって阿波踊りが愛され続けている理由なのかもしれません。文字通り、「踊らにゃ損々」なのです。
参考新聞
朝日新聞8月13日付 「夏、華麗 阿波踊り・よさこい /徳島県」https://xsearch.asahi.com/kiji/(最終閲覧日2026年8月25日)
読売新聞8月16日付 「阿波おどり 熱狂乱舞 阿呆の夏=徳島」https://yomidas.yomiuri.co.jp/yomiuri/articles/9489424(最終閲覧日2026年8月25日)
日経新聞8月12日付 「徳島で阿波踊り開幕 アニメとコラボも、鬼滅連やちいかわ展望台」 https://t21.nikkei.co.jp/g3/CMNDF11.do?Xid=2e4e1f284449167d581711fb8f97a4bf5b8eb5aa2da64cad20527423a0269597aee4d961277b2d2f632bce793dd64eea72fb1041b9bd754f84a39e22ee6d59e32f03572047c1d242&Pkey=pkey7(最終閲覧日2026年8月25日)
徳島新聞デジタル 2019年11月24日付 「阿波踊り12時間14分30秒連続でギネス記録 徳島市の松永病院職員連」https://www.topics.or.jp/articles/-/288158(最終閲覧日2026年8月25日)
参考サイト
2026年8月11日放送 マツコの知らない世界
徳島県ホームページ https://www.pref.tokushima.lg.jp/japanese/natural_culture/traditional_culture/awa-odori(最終閲覧日2026年8月25日)




