「若者の新聞離れ」を考える

 筆者は就職活動で、マスコミ業界を中心に受験しました。その中で、特に新聞社から「若者に読んでもらうためにどんな取り組みをすればよいか」という問いを何度も投げかけられました。確かに、今の若者は新聞を読んでいません。自分の周りでも、わざわざ購読してまで読んでいる人はごくわずかです。発行部数は1997年に5300万部とピークを迎えましたが、2025年には2400万部にまで減少し、今後も厳しい状況が予想されています。しかし、いずれメインの購読層となるべきは、今の若い世代です。ここまで読まれなくなった原因はどこにあるのか。そんな疑問をサークルのメンバーに問いかけてみました。今回は、話を聞いた「若者」3名の意見も踏まえながら、若者とメディアの関係について考えます。

インタビューに協力してくれたのは、筆者が所属する映画サークルの男性メンバー3人(Aさん、Bさん、Cさん)です。本稿では、彼ら現役学生のリアルなニュース接触の習慣に迫りました。

まず、普段どんな媒体でニュースを取り込んでいるのか尋ねました。自宅にテレビがあるAさんはテレビが中心です。毎週土曜にTBSの『情報7daysニュースキャスター』を見て1週間を総ざらいし、興味を持ったテーマはネットで深掘りします。NHKの『魔改造の夜』のような理系番組をバラエティとして楽しむ一方、SNSに関しては「Xは不毛な議論(レスバ)ばかりで嫌い」と距離を置いています。

対して、家にテレビがないBさんとCさんはスマートフォンで情報収集をしています。BさんはXやYahoo!ニュースの「見出し」から情報を得ていますが、自分の関心がある情報ばかりに偏る「フィルターバブル」を自覚していました。また、テレビのバラエティについても「コンプライアンスの意識が高まり、昔ほど面白いイメージが薄れた」と語ってくれました。CさんはGoogleのホーム画面からニュース情報を得ており、見たいときに見られる手軽さを支持しています。一方で、「SNS上の二次情報は他者のリアクションがメイン。一次情報そのものが少し入手しづらい」と分析していました。

次に、新聞への距離感を聞くと、彼らの環境が対照的である実態が見えてきました。

Aさんは「親が新聞を取っていなかったから触れる機会がなく、難しいイメージがある」と、新聞との距離を表します。一方、実家が日経新聞を購読していたBさんは「新聞は当然取るもの」という認識で、家に新聞がない家庭があることに驚いていました。社会問題に関心があって「自分でも取りたいけれど取れない」のが本音ですが、電子版を読むにも「バイトをしないとお金がないし、紙はかさばるため一人暮らしの部屋にはスペースがない」という、

経済的・物理的なハードルを挙げます。Cさんは「毎日読める気がしない」と、オンデマンド(好きな時に利用できるシステム)ではない新聞の配信形式に、心理的な負担を感じながらも、「文化を維持するためにも、多様な表現媒体が減ることは避けたい」と懸念を示します。

今回のインタビューで最も象徴的だったのは、各社が用意している「学割」の存在を、3人とも全く知らなかったことです。Bさんのように「関心はあるがお金がない」という声がありながら、その負担を軽減する制度が当事者にまったく届いていません。新聞社と若者の間のコミュニケーション不足は明らかです。

若者は社会に関心がないわけではありません。ただ、「毎日届く」「毎月固定のコストがかかる」「紙がかさばる」という新聞の特性が、「タイパ(タイムパフォーマンス)」や「コスパ(コストパフォーマンス)」を重視する若者の価値観とミスマッチを起こしているのではないでしょうか。

新聞社が若い世代へアプローチする第一歩は何でしょうか。まずは「学割すら知られていない」という現状を改善することにカギがあるように思われます。新聞の強みは、徹底した裏付けによる「情報の信頼性」と、紙面だからこそ実現できる「一覧性」です。その価値をどう若い世代に届けるか。SNS世代に対して、即効性のある特効薬のような対策はないかもしれません。だからこそ、誠実に、かつ骨太に、ジャーナリズムの存在意義をアピールし続けていくことが重要でしょう。