七夕に星は見えない?気象データから分かる“晴れない夜”の真相

7月7日、今年もまた願いを短冊に込めて、天の川を仰ぎ見ようとした人は多いはずです。しかし正直なところ、筆者には七夕の夜に星がきれいに見えた記憶はあまりありません。それもそのはず、この時期は梅雨真っ只中で、悪天候であることがむしろ当然だからです。

 

東京の晴天率は「4年に1回」

気象庁は、全国の気象台ごとに1年365日それぞれの「天気出現率」(その日が過去30年間で晴れ・曇り・雨・雪のいずれになったかの割合)を公開しています。東京管区気象台が公表する最新の統計期間(1991年~2020年)によると、東京における7月7日の内訳は次の通りです。

天気:出現率

晴れ:23.3%

曇り:40.0%

雨:36.7%

雪:0%

なんと、晴れる日は4年に1度もありません。曇りと雨を合わせると76.7%、つまり4回中3回は星空を諦めることになるという計算です。

この傾向は東京だけではありません。同じ気象庁の統計によれば、大阪の晴天率は26.7%、名古屋にいたっては16.7%にとどまり、曇りか雨になる確率は8割を上回るといいます。一方、梅雨明けが早い那覇は50%と他とは一線を画しています。

都市:7月7日の晴天率(目安)

名古屋:16.7%

東京:23.3%

大阪:26.7%

那覇:50.0%

つまり「七夕に星を見る」ことは、日本の広い地域でかなり分の悪い賭けだといえるでしょう。

 

犯人は「暦のズレ」

では、なぜこのようなことになったのか。冒頭でも述べた通り、7月7日は沖縄と北海道を除いて全国的に梅雨の真っ只中にあたり、前線の影響で晴れにくい時期です。関東甲信地方の梅雨明けの平均はおおむね7月中旬で、7月7日はまだその手前に収まってしまいます。

そもそも七夕は、明治5年まで使われていた太陰太陽暦(旧暦)の7月7日の行事でした。旧暦と現在の新暦(グレゴリオ暦)の間におよそ1か月のズレが生じてしまっているため、旧暦7月7日を今の暦に当てはめると8月半ばとなります。国立天文台は、この旧暦基準の日付を「伝統的七夕」と呼んでおり、2026年の伝統的七夕は8月19日にあたります。

ここで試しに、東京の「8月19日」の天気出現率を同じ気象庁の統計で見てみると、

天気:7月7日⇒8月19日(2026年の伝統的七夕の日付)

晴れ:23.3%⇒60.0%

曇り:40.0%⇒20.0%

雨:36.7%⇒20.0%

伝統的七夕の晴天率は60.0%と、新暦7月7日の2倍以上です。梅雨が明けた後は、太平洋高気圧に覆われて晴れの日がぐっと増えるためです。織姫と彦星がもともと出会うはずだった夜は、今よりもずっと星が見えていた計算です。

 

今年はどうか

では、肝心の今年はどうでしょうか。

日本気象協会の7月6日時点の予報によれば、7日は梅雨前線が本州付近から離れて活動が弱まり、日本海側の北陸・東北を中心に天の川の観測チャンスはあるそうです。梅雨明けした沖縄・奄美が絶好の観測条件になる一方、太平洋側や山沿いは雲が広がりやすく、地域差の大きい一日になるともいわれています。ウェザーニュースも、太平洋高気圧の張り出しで沖縄・奄美や北陸から東北にかけての日本海側は星空が見えやすいものの、西日本太平洋側は雲が残りやすいと伝えています。

過去30年の平均で23.3%しかない東京の晴天率を思えば、多少なりとも星空のチャンスがある地域は、むしろ幸運な部類に入ると言えるのではないでしょうか。

 

「旧暦」のすゝめ

七夕に星が見えない年が多いのは、偶然によるものではなく、梅雨の時期に新暦の日付を当てはめてしまった暦の巡り合わせによるものでした。今年、もし7月7日の夜が曇りや雨だったとしても、がっかりするのはまだ早いのです。8月19日の「伝統的七夕」の日は、晴れる可能性があるからです。

短冊を捨てずに、夏の終わりまで取っておくのも一つの手かもしれません。

(7月7日午後2時50分執筆)

 

参考資料

東京管区気象台,東京の転機の出現率

そらくら,【2024年】七夕に晴れる日が少ない理由とは?今年は天の川見られる?.2024.7.5

国立天文台,伝統的七夕について教えて

tenki.jp,7日(火)七夕の夜 日本海側を中心に天の川の観測チャンス,2026.7.6

ウェザーニュース,今日は7月7日 今夜は七夕の星空が見られる?

※本記事は気象庁が公開している「天気出現率」というデータを軸に、複数の気象メディアの情報や国立天文台の解説を組み合わせて作成しました。数値は気象庁の一次データを最優先で使い、他都市の数値については気象庁のデータを引用している記事から補いました。また、今年の実際の天候については記事を書いている時点ではまた確定したものではなく、天気予報会社が出していた記事を参照したものである点にご留意ください。