【特集】束縛きつめは、デートDV?

知り合いと恋愛の話になった。中には恋人からの束縛を笑い話にする人も。先日受けた授業の中で、束縛もデートDVにあたると知った。その境界線は存在するのか、考えてみた。

<きっかけ>

自粛期間を終え久しぶりに会った大学の先輩は、1年生のころから付き合っていた彼女と別れたばかりだった。理由は、彼女からの束縛のエスカレートだ。いくつもの端末からログインができるチャットアプリLINEに勝手にログインされ、友人、家族とのトークを全て見られていたそうだ。他にもSNSに自分とのツーショットを投稿させ、彼女がいることを公にさせたり、異性がいる遊びや飲み会に行かないように釘を刺したり。気になり他の知人にも聞いてみると、同じような人が多数いた。やはり多かったのは、異性との交流禁止だ。浮気を心配してのことだろうが、それが束縛となっている。ルールを設けるカップルも見られた。異性と2人きりではだめ、複数人であればよいなど。先輩は、これから友人との時間を増やしていくと笑う。

 

<デートDVとは>

デートDVは、結婚する前の恋人間で起こる精神的、身体的、性的、経済的暴力を指す。

デートDV具体例(京都市ホームページ参照 筆者作成)

男女共同参画局の平成29年度「男女間における暴力に関する調査」によると、交際相手がいる(いた)1833人のうち、相手からの心理的攻撃、身体的暴行、性的強要、経済的圧迫のいずれかを受けたことが『あった』と回答したのが16.7%。男性は11.5%、女性は21.4%だ。下記グラフは、被害経験を種類別に表したものである。

デートDVとされる4種類の暴力を経験した人は、性別問わず若年層に多いことが分かる。

 

<取材>

精神的暴力には、先輩が受けた束縛も当てはまる。ただ、デートDVとされる行為も、多くの大学生は束縛がきついだけだと捉えているのかもしれない。不快に感じない束縛であれば、笑い話になれば、すっぱり別れることができれば、デートDVではないのか。束縛の度合いによって決まるのか。パートナーとの付き合い方について、大学生に聞いた。

・大学2年生女性

地元に帰省したとき、異性と2人で食事に行ったことを指摘され、言い合いになったことがある。地元の友人で、恋愛感情はないので問題ないと思っていた。パートナーとの間に価値観の相違が生まれ、お互い理解するのに苦戦。人によって束縛だと感じるボーダーは違うのかもしれない。

・大学4年生男性

異性と2人で会うことは許せるが、昔の彼氏とは会ってほしくないと思ってしまう。パートナーも同じ考え。LINEの返信が遅いときは、何かに巻き込まれていないかと不安になることはあるが、浮気しているのではといった不安はない。

・大学3年生女性

パートナーとの間にルールは設けていないが、異性と2人で遊ばない、手を繋がないなどは暗黙の了解になっている。

・大学3年生男性

付き合い始めた当初、異性と話しているとやきもちを焼かれたため、パートナーの前では気を付けている。食事や遊びに関しては、人付き合いを大切にしたいのでその場に異性がいるときはパートナーに隠している。

 

<取材を通じて感じたこと>

今回取材した全員が、相手との良好な関係を保つため欠かせないものとして「信頼」を挙げた。信頼は目に見えないからこそ、束縛しないという行動で示しているとのこと。人によって、何をしたら束縛なのか、何をしてほしくないかは異なる。パートナー間で、その価値観や感じ方が大きくかけ離れるほど、不快に感じてしまうのかもしれない。相手からの行為を束縛と捉えるか、デートDVと捉えるかも同じことが言える。一概に言い切れないからこそ、被害を受けていても声が上がりにくいのだと感じる。

 

参考資料:

内閣府男女共同参画局「デートDVって?

京都府「考えてみようデートDV

東京ウィメンズプラザ「交際相手暴力とは何ですか?

 

相談窓口:

DV相談ナビ #8008

0570-0-55210(令和3年3月まで)

DV相談+ホームページ

0120-279-889(メール、チャットの対応もある)

 

 

 

 

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