【中国就活事情—Part2】[留学生に聞く]
Part2では、中国での学生生活や「働くこと」への意識を聞きました。また、中国では学生の多くが海外に留学をするようになっているとのことですが、留学とキャリアプランをどのように考えているかについても聞いてみました。
※ 各質問に対する回答者(希望によりいずれも仮名)
Part2では、
- 林さん(男)…重慶出身、国際経営学部に1年から留学、就活中
- 肖さん(男)…天津出身、国際経営学部に1年から留学、日本の通信会社に内定
- 劉さん(女)…北京出身、社会学部に1年から留学、就活中
- 崔さん(女)…広州出身、社会学部に1年から留学、日本の保険会社に内定
の4人。
——中国の学生生活について教えてください。
林さん:国土が広いので、入学するとほとんどの学生が家を離れます。日本ではアパートを借りての一人暮らしが大半のようですが、中国では普通、寮に入って4年間集団生活を送ります。一部屋4〜8人構成が基本で、ルームメイトはまるで兄弟のような付き合いです。中国の大学では7:00〜の朝勉強と、〜22:30までの夜勉強が義務づけられているため、どの大学にも、短期で利用できる寮が必ずあり、テスト前などは、自宅通いの学生も宿泊できる環境が整っています。私は高校時代に寮に入っていました。とても便利で勉強に集中できましたが、衛生面や暮らしやすさなど考えると決して良いとは言えない環境でした。
劉さん:中国では学生の主な収入は親からの仕送りと奨学金です。
崔さん:また、日本の大学ではサークル活動が比較的盛んですが、中国ではなに等しいです。中国にいる友人に聞いたところ、大学祭や合宿などというイベントもなく、授業後には気分転換にお茶をしたり、サッカー等の軽いスポーツをしたりするほかは、たいてい、大学内か寮で過ごします。
——中国では離職率・転職率が高いと言われていますが、働くことに対してはどのような意識を持っていますか?
崔さん:自身のビジョンのために多くの人が転職を繰り返します。離職率の高さには労働賃金の低さと賃金格差の問題があるかと思います。「上には厚く、下には薄く」と言われますが、管理職、それも上から3%の人々以外は待遇がよくない。それも理由の一つであると思います。
肖さん:中国人は、一にも二にも金を稼ぐために働きます。職務の内容や、やりがいなどを基準に進路を考えることはほぼないと言えます。やりがいを感じるとすれば、労働相応の賃金による満足度でしょうか。ですから、少しでも多くの賃金を受け取るため、学生は自分の専門性を高めようと懸命です。就業までにインターンや留学を経験するなどして、一つでも多くセールスポイントを作ることに励みます。
——中国人学生の海外留学について教えてください。
劉さん:ここ最近は、アメリカやヨーロッパ、日本の大学院への留学者が非常に増えています。卒業後は、そのまま留学先の国に残って働く人が多いですね。
林さん:中国で、海外留学からの帰国者を表現する言葉が変わってきました。1978年の改革開放政策の始まりから数年前までの中国では、帰国学生を「海龟海归(haigui:ハイグイ)」(龟=亀、归=帰)と呼んでいたのが、今では「海带海待(haidai:ハイダイ)」(带=海藻、待=待つ)と呼ぶようになりました。
「龟」は「亀」、「归」は「帰」です。また、「带」は海藻のことです。亀は、かつて中国で貴重とされていました。“海から亀が帰ってくる”貴重な人材を各企業で取り合うという意味でした。いまは“亀”が増えすぎて、“海藻の漂い”、つまり海藻のように漂って就業の機会を待っている、ということです。これはまさに、現実です。現に私たちもそうですが、多国籍企業のルートを使い、中国に戻るといったビジョンを考えることが重要になります。
——最後に、今後のキャリアプランについて教えてください。
崔さん:日本は先進国なので、いろいろなことが学べると思って来ました。私が日本に来た際の中国はまだ発展途上国でしたが、今後3〜5年仕事をしてから帰国する頃には地域格差が緩和され、さらに発展していると思うので楽しみです。
劉さん:日本は長い時間をかけて着実な成長を遂げ、先進国になりました。ですが、中国の最近の成長は、あまりにも単発的で瞬間的なものなので、国の将来象をイメージすることができずに大きな不安を感じるというのが本音です。
林さん:大学で学んだマネジメントを生かせるような仕事に就き、自身にしかできない専門性を、実務で更に身につけたいです。いずれ母国に帰り、いままで世話になりいろいろ心配をかけた両親と一緒に暮らしたいと思っています。
肖さん:日本のIT市場を学ぶため、就職先としてIT業界を志望しました。中国では現在、ITの普及が著しいでですが、世界の最先端をいく日本と比べたらまだまだです。また、中国ではFacebookやTwitterの閲覧ができず、ある種の言論統制がされています。このような政策への疑問は、日本に来たからこそ気づいたことです。自分のビジョン、そして国内外の状況をしっかりと見据え、いずれは祖国に戻り母国の更なる発展に貢献したいと考えています。
【インタビューを終えて】
みなさん、大変熱心に答えてくれました。海外の就活について、同じアジアの国であっても、知っているようで案外知らないことが多くあったのではないでしょうか?
今回のインタビューを通して、将来に対するビジョンなどに、大きな刺激を受けました。
他国の言語や文化を知り、異なる習慣を十分に理解し、良き絆を築き上げることへの意識が、これからのグローバル社会への第一歩であるとも思いました。
皆さんは、どのようにお感じになったでしょうか?
「就活なう!」に関する、学生のみなさんのご意見・ご感想をお待ちしています!