「就活なう!」第2回【中国】Part1

【中国就活事情—Part1[留学生に聞く]

「海外就活事情」第2回目は中国です。

皆さんの大学や大学院でも、中国人学生はたくさん居るのではないでしょうか?日本学生支援機構(JASSO)の調査によると、2012年1月現在、約9万人の中国人留学生が日本で学んでおり、日本での就職を目指す学生も数多くいます。

今回は、これから日本で就活を行う留学生4人と、今年日本企業への就活を終えたばかりの4人の計8人に対面インタビューをおこないました。答えてくれた学生たちの出身地は、北京、上海、重慶、天津、杭州、広州の各地です。中国の就職事情や制度、日本との比較、さらに中国での大学生活のあれこれに至るまで、「本音」を聞いてみました!

※  各質問に対する回答者(希望によりいずれも仮名)

:Part1では、

  • 張さん(男)…重慶出身、国際経営学部に1年から留学、日本の広告会社に内定
  • 王さん(男)…上海出身、文学部に1年から留学、就活生
  • 陳さん(女)…重慶出身、社会学部に1年から留学、就活生
  • 李さん(女)…杭州出身、社会学部に1年から留学、日本の貿易会社に内定

の4人。

まず、以下に中国での大学生および就職状況を概括しました。

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  • 大学生総数:750万人(日本:280万人)
  • 海外に留学する学生:27万人
  • インターン率:全大学生の3〜4割
  • 新卒の就職率:90.2%(政府発表統計)

〔中国麦可思研究院『就業青書2011』より〕

【中国の就活事情】

 

――中国の就活はどのように行われますか?

張さん:中国は秋入学のため学期は9月からはじまり、大学4年生になったら就活開始です。

李さん:「中国の就職活動」は日本と大きく異なり、日本では主流となっている「合同説明会」といった就活イベントはなく、就活情報サイトや各企業のHPにも専用の採用関係ページはありません。国土の広さ、そして人口の多さを考慮し、中国政府人事部管轄の「人材交流市場」(日本で言うところのハローワークのようなもの)が各地にあり、そこに企業が有料でブースを借りて求人活動をし、求職もそこで行われます。国土の広さ、そして人口の多さを考慮してのことです。

張さん:日本のように新卒予定者が一斉に就活スタート、といった感じではなく、各人が専門性や経験を十分に身につけてからの順次開始で、非常にフレキシブルです。私の友人は、ヨーロッパの大学院に進学し、ITの勉強をしている人が多いです。

 

――日本の就活との違いは?

 李さん:中国では大学院に進学する人がとても多いです。文系でも、「スペシャリスト」を目指し、企業においても専門性が非常に重視されます。また知識だけでなく経験も必要なため、多くの学生は企業インターンをして社会人との人脈作りと就業経験を積み、その企業へ就職のアプローチをするのが主流です。私のいとこは数年前から日本に留学して、去年日本で就活をしましたが、「スペシャリスト」よりも「ゼネラリスト」を重視する日本の風土から、自身が専門的に学んできたことと関係のないことをする業界・企業の選考も受けなければならず、その点では大変苦労をしていました。

張さん:それ以外の一般的な選考の特色としては、集団面接や電話面接が主。何より人口が多いためです。履歴書はすべて“パソコン”記入であり、エントリーシートについては決められた記入のフォームはなく、無地の真っ白な用紙です。学生が最も力を入れるのが、このESの作成です。それぞれ、他の人とは違う創意工夫を凝らす必要があり、独自性・希少性なアイディアが求められます。中国にいる私の友人は、3D仕様にしてみたり、音楽や香り付けを利用したりしていました。面倒だとは考えたことは無く、好きなように自己表現が許されるので、みな思う存分楽しみながら作成しています。

李さん:漢民族(総人口の92%)以外の少数民族出身の学生に対しては、就活選考で加点などの優遇処置があります。

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写真:友人提供

 

――就職をめぐる環境や“学生気質”については如何でしょうか。

 王さん:中国では、政府関係者に近い人脈によるコネがあるか、もしくは大学の名前で、就活がかなり有利になります。みな暗黙の了解です。偏差値が高く、有名な大学には企業がこぞって求人訪問に来ています。

陳さん:中国の学生は、学生同士のつながりよりも社会人との人脈を幅広く持とうとします。日本と違っているところですね。より就活で有利になるよう考えてのこと。多くの社会人との人脈構築に力を注ぐ。それは中国の大学生にとって当たり前のことです。毎晩、いろいろな社会人と食事をする学生もいると聞いたことあります。

王さん:日本のように、学生のうちから早く社会に出ることを意識して就活に取り組む姿勢は、素晴らしいことだと思います。中国では、自分で企業のホームページなどを使って調べなければならないので、日本企業はインターン受け入れや仕事内容を理解するためのセミナーなど、学生のサポート体制が手厚いことがうらやましいです。これらの制度は、早くから企業のことを十分に知ることができるチャンスだと思います。私たち中国人は(国の政策で)みな一人っ子なので、早く社会に出て自立をし、両親を助けたいという気持ちを持っています。

以上Part1では中国の就活について、また留学生からみた日本の就活について彼らの「本音」を聞きました。

次回Part2では、[中国における海外留学と学生生活について]です。

 

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